ゴロフキンがカネロに完敗で再びミドル級へ。村田諒太が現役続行なら、時代の代わり目にどう関われるのか (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

カネロ、ゴロフキンの今後

 もっとも、近年のボクシング界を彩ったふたりが、キャリア後半、終盤にどんな道を歩んでいくのかは興味深くもある。カネロ、ゴロフキンが主人公格だったミドル級、スーパーミドル級も過渡期に入っていく可能性が高い。

 そこで、祭りを終えたばかりの両雄と、中量級戦線の今後を展望しておきたい。

 ゴロフキン戦後、カネロは試合前から負傷していた左手首を手術する予定だと発表した。簡単なケガではないとのことで、復帰は早くて来年5月になるかもしれない。

「手と体を休める必要がある。より強くなって戻ってくるよ。(ビボルとのリベンジ戦は)私のレガシー、プライド、そして祖国、家族にとって重要だ」

 会見でのカネロはそう語り、一度は苦杯をなめたビボルとの再戦に意欲を見せた。カネロvsビボルが本当に組まれれば、第1戦で明確な差を示した31歳のロシア人王者が有利とみなされるだろう。

 久々に"アンダードッグ"になるカネロにとって、今回のゴロフキン戦以上の大一番。その結果次第で、"北米最高のドル箱"であり続けてきたメキシカンアイドルの商品価値に大きな傷がつくことも考えられる。

 そんなリスキーなリマッチを本当に強行するのか。WBC世界スーパーミドル級王者デビッド・ベナビデス(アメリカ)、WBC世界ミドル級王者ジャモール・チャーロ(アメリカ)といった他の強豪たちまで含め、カネロの方向性と対戦者選びに再び注目が集まる。

 2敗目を喫したばかりのゴロフキンも、「私はまだ160lbs(ミドル級)でベルトを3本持っている。私の中に燃えるもの、情熱が残っている」と語り、現役引退は否定していた。スーパーミドル級ではやはり体の張りがもうひとつで、次戦ではミドル級への復帰が確実。DAZNとの契約はカネロとの第3戦で満了らしく、これから先は中継局の縛りがないFAの立場で次の相手を選ぶことになる。

 ゴロフキンが持っているWBAミドル級スーパー王座をキープしたければ、正規王者エリスランディ・ララ(キューバ)との指名戦をこなさなければならない。旧ソ連圏の選手はタイトルにこだわる傾向が強く、復帰戦で39歳のララとのベテラン対決が実現することも考えられそうだ。

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