那須川天心「武尊選手は性格もファイターとしても真逆」。試合には「負けるイメージがない」 (2ページ目)

  • 井上崇宏●文 text by Inoue Takahiro
  • photo by Taikoh Kuniyoshi

── 武尊選手は「この試合は実現しないかもしれない」と言われたとしても、その運命に身を任せないタイプですよね。「絶対にやろうよ。最後まであきらめない」っていう。

「そうかもしれないですね。ファイターとしても自分とはまったく逆だなと思いますね。あのスタイルを見ればわかりますよね? 僕は格闘技を競技としてやっていますけど、武尊選手の場合はまた違う。僕は相手としっかり距離をとって戦い、技のキレや正確さとかを意識していますけど、武尊選手の場合は『ガンガン前に出て気合いで倒す』みたいなスタイルですよね」

── そういうスタイルはやりやすいですか? やりづらいですか?

「僕のなかではやりやすいですけど、そのなかでも武尊選手は強い選手だなと思っていますので。だから『こういうタイプの選手なんだろうな』と決めつけないようにしています」

── とにかくあの打たれ強さは脅威だなと思いますよね。

「はい。それは思いますけど、打たれ強かったら勝つという競技でもないので。打たれ強いからこそ負ける時もあるし、弱点がない人はいないですから」

── 武尊選手は過去最強の相手ということで間違いないですか?

「だと思います。実力もそうですし、功績も認めています。だからこそ、戦う意味もあるし、お客さんも興奮するんじゃないかなと思いますね。まあ、試合をやるんですけど、僕は今でも本当に実現するのかって、ちょっと疑っていますもん。100%信じて練習もしていますし、倒す気でやっていますけど、『これ、本当にやるのかな?』みたいな」

武尊戦はキャリアの総決算

── 試合当日まで何が起こるか、何がひっくり返るかわからないと。

「そう」

── 何か特別、普段と変わった練習をしたりはしていますか?

「いや、特別はないですね。いつものように対策を立ててやっています。ただ最後のキックの試合なので、今までお世話になった人のところに練習に行ったりとかしています。たとえばボクシングの葛西(裕一)さんのところだったり、昔一緒に練習していた仲間がTEPPEN GYMに来てくれたりとか。それと父親(那須川弘幸氏)とのマンツーマンを復活させて、そういうものを全部吸収して向かうというか。そんな感じですね」

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