ウナギ・サヤカは「真逆」のイメージだったプロレスに参戦。恐竜に憧れた少女はリングで暴れることに夢中になった (2ページ目)

  • 尾崎ムギ子●文 text by Ozaki Mugiko

■シンクロでオリンピック候補生になるも......

 ウナギは1989年、大阪府に生まれた。父、母、5つ上の姉がいる。父は高校の英語教師、母は高校の国語教師という教育一家。曾祖母は議員で、親戚には医者が多く、エリートの家系で厳しく育てられた。

 体が弱かった姉が水泳を始めたのをきっかけに、ウナギも水泳を始めた。クロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの4泳法をマスターし、今後どうするかと話していた時、家族であるミュージカルを観た。

「シルク・ドゥ・ソレイユかな? 人魚の恰好でプールに入るミュージカルがあって、それを観たお母さんが『絶対にシンクロをやらせる!』って決めたんですよ。それで強制的にシンクロナイズド・スイミング(現アーティスティック・スイミング)を始めることになりました」

 1時間の柔軟体操、2時間の競泳、その後にシンクロの練習が始まる。毎日10km以上も泳ぎ、練習に明け暮れた結果、中学2年生の時に全国大会3位入賞。オリンピック候補生となる。しかしオリンピックを目指せる位置にいながら、ウナギはシンクロをやめてしまう。

「オリンピック選手って、長い人だと20代後半までやるじゃないですか。『これはタイミングを逃すとやめられない』と思ったんです。絶対、きついですよ。合宿に行くと、朝起きて泳いで、吐くまで食べて、昼泳いでまた吐くまで食べて、夜また泳いで......という感じだったので。オリンピックを目指したくなくてやめました」

 普通はオリンピックに行きたくても行けないのに、もったいない。他に夢があったのかと聞くと、「恐竜!」と答える。小学生の頃からずっと恐竜に憧れていた。大きくて、カッコいい。今、プロレスで大暴れしているから、恐竜に近づいている気がするのだという。「大暴れしてお金をもらえるって、ヤバいですよね!」と目を輝かせる彼女を見て、「別の意味で確かにヤバい......」と私は思った。

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