武尊の胸に残る夢、総合格闘技への思い。「総合でも結果を残せたら、K-1 の強さを証明できる」 (3ページ目)

  • 篠崎貴浩●取材・文 text by Shinozaki Takahiro
  • photo by 東京スポーツ/アフロ

総合格闘技に「意識はある」

――今は那須川天心選手との試合に全集中していると思いますが、その後、総合格闘技で強さを表現したいという思いはありますか?

「理想としてはあります。現時点では、6月19日の後のことは何も考えてないですけど」

――小学校の卒業文集で書いた夢は、まだ武尊選手の中にあるということですね。

「もちろん、意識はありますよ」

――武尊選手は自分をとことん追い込んで、プレッシャーとも向き合って、それを乗り越えて勝ち続けてきました。その原動力は何でしょうか?

「負けず嫌いなことは大きいです。試合に敗けたあとは、本当に生きている心地がしないほど毎日がつらい。それをもう経験したくないし、敗けは自分だけの敗けじゃない。団体や支えている人たちの思いも背負っているので、プレッシャーや恐怖と毎日戦うことになります。ただ、そういったプレッシャーがあるからこそ練習に気合が入るし、自分の強さの源になっています」

――41戦40勝でわずか1敗。デビュー6戦目(京谷祐希戦)、プロキャリア唯一の敗戦の悔しさがずっと残っている?

「その敗戦もそうですが、アマチュア時代や空手をやっていた時もたくさん負けを経験してきましたから。その負けがあったから、『もっと練習して強くならないと』というマインドが生まれた。反骨心や負けず嫌い、それが自分の強さの秘訣だと思います」

――あらためて、6月19日の那須川天心戦で武尊選手が見せたいこと、証明したいことはなんですか?

「これまでやってきたことや強さを証明して、自分についてきてくれた人たち、応援してくれた人たちに恩返しがしたい。僕やK-1 が誹謗中傷されても、いつか対戦が実現して勝ってくれると信じ続けてくれた人たちもたくさんいるので。ただ、勝つだけです」

 最後の質問に移る前、武尊は次の仕事のために移動しなければならなかった。インタビューを切り上げてもいいタイミングだったが、武尊は「僕の携帯で(リモートを)つなぎます」と言って、車での移動中に丁寧に質問に答えてくれた。そしてインタビューが終わると、「ありがとうございました」とニコッと笑顔を見せた。これもK-1の象徴として闘ってきた男の責任感なのであろう。

 6.19東京ドームに向け、武尊は残りの時間ですべてを研ぎ澄ませていく。勝って武尊という「存在証明」をするために。

【プロフィール】
■武尊(たける)
1991年7月29日生まれ、鳥取県出身。2011年9月24日、「Krush.12」でプロデビュー。2015年4月に初代K-1スーパー・バンタム級王座決定トーナメント、2016年11月に初代K-1フェザー級王座決定トーナメントを制して2階級制覇を達成。2018年3月の「K'FESTA.1」では第4代K-1スーパー・フェザー級王座決定トーナメントで優勝し、前人未到・K-1史上初の3階級制覇を成し遂げる。2021年12月、2022年6月に中立のリングで那須川天心と対戦することを発表した。プロ戦績41戦40勝(24KO)1敗

◆THE MATCH 2022 大会情報
日時:6月19日(日)12:00開場(予定)/ 14:00開始(予定)
詳細はこちら>>

◆YouTubeチャンネル
「武尊 / TAKERU」はこちら>>

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