井上尚弥の次戦を占う一戦。「イメージが悪い」カシメロは強さを証明できるのか (3ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by Getty Images

 ドネア戦の交渉でまたイメージは悪くなったものの、いい勝ち方をすれば多くのことが忘れられてしまうのがボクシング界だ。40歳になってもテクニックが高く評価されているリゴンドーを倒すようなことがあれば、井上をはじめとする同階級の猛者たちも無視をするのが難しくなるだろう。

 ただ、絶好調のカシメロをもってしても、キューバの拳豪はやはり厄介な相手に思える。2000年、2004年の五輪で連覇を飾ったリゴンドーは、プロでも楽々とバンタム級、スーパーバンタム級の2階級制覇を達成。「試合が退屈。面白くする努力もしない」という評価が定着しているものの、2013年4月には、全盛期だったドネアをほぼ完封。それ以降も第一線で戦う、レジェンドという呼称が相応しい選手である。

「カシメロのパワーや他の武器は心配していない。私はこれまで3階級で戦い、多くの挑戦を乗り越えてきた。カシメロに関して心配することはないよ」

 リゴンドーはそう自信を見せているが、上の階級でも実績がある"ディフェンスマスター"は、カシメロのパワーにも面食らうことはないはずだ。

 2017年12月、現在より3階級上のスーパーフェザー級でワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)と戦い、唯一の負けを喫してからは3連勝。リゴンドーがいい状態でリングに上がれば、卓越した技巧にカシメロが空転する姿を想像するのは難しいことではない。

「最近のリゴンドーがそうしているように、ガッツを持って向かってきて、エキサイティングな試合にしてほしい。そのほうがファンは喜ぶし、誰がベストかはっきりする」

 カシメロがそう話すとおり、加齢でフットワークが衰えたからか、ここ数戦のリゴンドーは以前よりも足を止めて打ち合うようになっている。

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