「面白い試合をしてナンボ」のカッコよさ。桜庭和志伝説は50歳の今も継続中 (3ページ目)

  • 佐瀬順一●取材・文 text by Sase Jun-ichi
  • 長尾迪●撮影 photo by Nagao Susumu


 今や総合格闘技は、ルールや階級が整備され、"競技"として成熟したジャンルになりつつある。桜庭が活躍した20年前はまだ黎明期で、無差別級トーナメントの2回戦から決勝戦までを1日でやってしまったり、ホイスの試合にかぎり「15分無制限ラウンド」なんていうムチャクチャなルールも、可能といえば可能だった。

 ホイス陣営の理不尽な要求、無制限ラウンドだったからこそ90分にも及ぶ死闘になったことを考えると、20年前のあの時代だったからこそ、「桜庭vsホイス戦」は語り継がれるべく伝説の一戦になったと言っていいだろう。

 あと、忘れてはいけないこととして、2回戦でホイスに勝った桜庭はその日準決勝の試合にも出場している。よりにもよって、スーパーヘビー級のイゴール・ボブチャンチン相手に15分間、試合をしているのだ。

 さすがに最後は疲労困憊で、延長ラウンド前にタオル投入で準決勝敗退となったが、当時の桜庭がいかにタフだったかがわかる。そもそも現代では、選手の安全面を考慮して絶対にあり得ないシステムだ。

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