井上尚弥が藤原竜也と対談。思い描く
カシメロ戦の試合展開も明かす (2ページ目)
話はそこから、ボクサーと俳優の共通点に移った。
「演劇は、テレビや映画に向けて役者を育てる場所。演出家の下で稽古をして初日を迎えたら、演出家は"セコンド"について出演者は"リング"に立たされます。何かあれば(演出家が)タオルを投げることもありますけど、基本的には『お前の世界だ』と任されるんです」(藤原)
「準備を経て本番を迎え、当日にやるのは自分という点は一緒ですね。僕は練習メニューでもほかの人に負けたくないと思っていて。そういったことが、結果に出る世界だと思います」(井上)
藤原も「稽古場でやれなかったことは本番ではできない」と同意しつつ、「僕らの場合はひと月、ふた月という長いスパンで本番がありますが、ボクシングは1日集中。その日をどう迎えるんですか」という質問も。それに対して井上は「朝は落ち着いています。前日の夜は、遠足の前の日のように楽しみすぎて寝られない感覚に近いです」と答え、試合の心境についても言及した。
「リングに上がる直前は緊張感があります。でも、逃げ出したいとかではなく、『早く試合をしたい』という緊張です。(ゴング直前に)両者にらみ合っている時は夢の中みたいな感じですね。国歌斉唱の時は何も考えていなくてボーっとしているので、終わると『うわ、もう始まる』となるんです。試合が始まってからは目の前の相手に集中するので、セコンドとのやりとりなどもほとんど覚えていません」
2 / 3