2019.12.30

RIZINの新時代を作る「朝倉兄弟」の
強さを髙田延彦が解き明かす

  • 瀬川泰祐●取材・文 text by Segawa Taisuke

 いくつもの熱い戦いが繰り広げられた、12月29日の「BELLATOR JAPAN」。その熱狂を引き継いで、12月31日に「RIZIN.20」が幕を開ける。

 中でもファンの注目を集めているのは、今年8月に堀口恭司を1RKOで下した朝倉海(かい)と、圧倒的な強さで難敵を蹴散らし続ける兄の朝倉未来(みくる)だろう。そこで髙田延彦氏に、"朝倉兄弟"の強さ、2人を中心に大きく動きはじめたRIZINのフェザー級・バンタム級についての展望を聞いた。
RIZINを代表する選手になった、弟の朝倉海(左)と兄の未来(右)――注目度が高まっている"朝倉兄弟"について聞かせてください。まずは、兄である朝倉未来選手の魅力をどこに感じていますか? 

「まずは彼の佇まい、雰囲気だよね。その裏には、ケンカに明け暮れた青春時代があるわけだけど。彼が生きてきたバックボーンが作り上げたのか、生まれ持ったものなのかはわからないけど、彼が自然に作り出す"覚悟"にはスペシャル感がありますよ。毎試合に命を懸けていて、スマートフォンに必ず遺書を書いて残している。だからこその、あのファイトスタイルです。危険な香りがプンプンするでしょ。

 かっこいいじゃないですか。最近はキャラクターを作っている人も多いけど、彼はナチュラル。そこが最大の魅力だし、それがファイトスタイルにも反映されているのがいいね」

――朝倉未来選手のファイトスタイルの話が出ましたが、格闘家としての強さの秘訣はどこにありますか?

「一番の強みは、分析能力とそれをリング上で体現してしまう実行力、対応力だよね。実戦では、分析どおりにいかないことが多々ありますが、すぐにアジャストして瞬時に判断し、行動できる。全盛期のヒョードル、あるいはヴァンダレイ・シウバみたいなものですよ。相手の出方に対して、瞬時に軌道修正をしながらアクションを起こすんだけど、そのアクションが正しくて精度が高いのがすごい。だから相手が倒れるんですよ。

 そのうえ、冷静さも持っています。今年4月のルイス・グスタボ戦(3-0の判定で朝倉の勝利)の終了間際のタックルも本当にクレバーでした。打ち合っても引かない選手ですが、判定になることを想定して、最後の印象度を上げるためにテイクダウンをとった。勝負に徹したわけですね。ハートは熱いけど頭はクール。戦うために必要なものをすべて兼ね備えている選手です。

 スタンドでの攻めの圧力も相当なものだと思うね。修斗の伝説的なチャンピオンだった日沖発やリオン武も、ものの見事にやられている。1階級半上のグスタボからもダウンをとっているし、何度も下がらせるシーンがあったでしょ。矢地祐介との(7月の)試合もかなり体重差があった。つまり、今回のライト級GPの準決勝の中にいてもおかしくないわけだよね。でも、彼が本当にクレバーなのは、自分の適正体重にこだわって、フェザー級を盛り上げたいという意向を持ち、それを実行しようとする姿勢ですよね」