20歳の須崎優衣に奇跡のチャンス到来。女子レスリング最軽量級が面白い (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●取材・文 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

 須崎には、吉村祥子日本代表コーチがエリートアカデミー時代から一貫して指導している。だが、入江の所属する自衛隊体育学校にも、同じく日本代表チームのコーチを務める冨田和秀がいる。加えて、ロンドンオリンピックで金メダルに輝いた小原日登美も指導する体制だ。

 さらに入江は、7歳から九州共立大卒業まで師事してきた同校の辻栄樹監督のもとでも練習を積んでいる。世界選手権での屈辱から巻き返しを図るべく、基本を徹底的に磨いているという。

 近年、須崎を倒したのは入江しかいない。10-0のテクニカルフォール勝ちを収めたこともある。全日本選手権で入江が狙うは、7月のプレーオフの再現だろう。

 日本女子レスリングの最軽量級は、アテネ大会と北京大会で伊調千春が銀メダル、ロンドン大会で小原日登美が金メダル、リオデジャネイロ大会で登坂絵莉が金メダルと、すべてのオリンピックでメダルを獲得している。オリンピック出場権も4大会すべて、前年の世界選手権で奪取してきた。

 だが今回、初めて世界選手権で出場権を逃してしまった。それも、全6階級で唯一。

 50キロ級の試練はまだまだ続く。だが、このハイレベルでの切磋琢磨がオリンピックで金メダルという形となって実を結ぶはずだ。はたして、東京オリンピックへの出場権を掴むのは、須崎か、入江か――。

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