東京五輪金メダルを目指す柔道・阿部兄妹。詩から一二三にエール (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Nishimura Naoki/AFLO SPORT

 昨年は、世界選手権とグランドスラム大阪を連勝して、早々にこの大会の代表を決めたが、今年2月に左肩を痛めて4月の全日本体重別選手権は欠場。5月のGPフフホト大会で復帰すると優勝した。

 それでも、「ここ1カ月は試合のことを考えながら不安と戦っていた」と話す。

「今回はケルメンディ選手という強い選手に勝っての優勝なので、去年の優勝よりもうれしさはあります。一度戦ってみたかった選手であり、勝ちたかった選手なので、今回勝てたことは自信になりました」

 こう話す詩は、この勝利で来年の東京五輪代表へ向けて大きく前進した。11月のグランドスラム大阪でも優勝すれば、早々と代表決定の可能性もある。

 一方、3連覇を狙った兄の一二三も、6月の代表合宿中に左足首の靭帯を痛めて、万全とは言えない状態だった。それでも、初戦から躍動感あふれる柔道を見せ、井上康生男子監督も「キツい相手」と警戒する、アルベルト・ガイテロ=マルティン(スペイン)を相手に開始34秒に背負い投げで一本勝ちをおさめた。

 3回戦では、マー・ドゥアンビン(中国)と袖をつかみあった状態から、開始15秒に袖釣り込み腰で一本かと思われたが、技ありの判定。その26秒後にもう一度袖釣り込み腰を放って一本勝ちしたが、その試合で右目付近にマーの頭が当たって目が腫れてしまった。

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