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村田諒太攻略法を明かす新王者。
不利なラウンドで勝利の手応えがあった (2ページ目)

  • 杉浦大介●文 text by Sugiura Daisuke
  • photo by AP/AFLO

――試合はまさにその通りの流れになりましたね。いい方向に進んでいるという手応えを感じたのはいつ頃ですか? 

「5ラウンドです。村田にとってのベストラウンドと目されたラウンドですね。あそこで村田の攻勢をしのぐことができて、これでもう何が起きても対処できると感じられたんです。彼のベストパンチも耐えられたことで、6ラウンド以降はより自信を持って戦い抜くことができました」

――今戦での村田選手の誤算として、あなたのスタミナが切れず、序盤からのハイペースを中盤以降も保ったことを挙げていました。なぜこれほどのペースで打ち続けることが可能になったのでしょうか? 

「自分が望んでいるテンポ、リズムで戦えなくなったとしたら、村田の勝機が大きく膨らむことは試合前からわかっていました。トレーニングキャンプを通じて、『"疲労する"という選択肢は自分にはない』という心構えでハードな練習に励んだつもりです。村田を思い通りに前進させず、体重を後ろがけにさせることが勝つためのポイントであることを理解し、できる限り多くのパンチを放ち続けたんです」

――合計1262発(356発がヒット)という総パンチ数を見てどう感じましたか?

「数字を見てかなり驚いたのは事実です。事前のプラン通りとはいえ、あそこまでの数とは。ただ、その数字こそが村田の実力を物語っているのでしょう。あれだけのパンチを出さなければ村田には勝てなかったということ。村田によって私の実力が引き出されたとも言えると思います」

――村田のパワーは定評ありますが、実際に対戦してみてどうでしたか?

「パワーはすごかったですよ。フィジカル面でとても恵まれた選手です。体が接近した際にはもっと押していきたかったのですが、村田はコンディションがよく、とても頑強でした。右パンチは強く、常に警戒が必要でした。彼の右への対策として、自ら距離を詰めることを心がけたんです。村田の腕が伸びきった状態で右ストレートをもらうと、多くのダメージを受けてしまう。だから、被弾するにしても、射程距離から一歩、中に入ることでその威力を軽減しようとしたんです」

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