人生と引退、ここまで七転び八起き。大仁田厚はプロレス魂を持ち続ける (3ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Nikkansports/AFLO

 引退試合には、かつてのFMWの選手もたくさん参戦してくれて、みんなに「ありがとう」の気持ちでいっぱいになりました。リングに未練はない、思い残すことはないと7度目の引退をしたとき、「町づくりをしたい」という新たな夢が湧き上がってきました。

「地方創生」を掲げて、引退前の何年間かは全国を回りました。地方から日本を元気にしたい、そのモデルケースになるような町を作りたいと思ってね。年配の方々などに優しい町にしなくちゃいけないし、子どもの教育についても、ICT(情報通信技術)を活用すれば地方格差もなく、独自性を打ち出せる。

 そう思っていたときに、関係者からおふくろの故郷である佐賀県神埼市での市長選出馬を打診されて、ここで次の人生をチャレンジしようと決意しました。準備期間も短く、いきなり東京から来た"よそ者"でしたが、閉鎖的ではなく開かれた市政を目指そうという自分の志に賛同してくれ温かく迎えてくれる新しい仲間がたくさんできました。

 4月15日が投開票日の選挙戦は現職市長との一騎打ち。結果は、その市長さんが9002票で私が8025票と、977票差で敗れました。結果は無念でしたが、これだけの市民が私に神埼市の未来を託そうとしてくれたことは、とてもうれしく誇りに思いました。

 このときに思ったんです。負けは次へのスタートだと。自分を見つめ直すときがきたと、胸の中で誓いました。

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