村田諒太らチャンプが輩出。
京都廣学館ボクシング部が育む「拳の哲学」 (3ページ目)
飾られた賞状の多さがボクシング名門校の歴史を感じさせる「自分が今、大切にしているのは、ひとつはこれまで築いてきた伝統を途切れさせないこと。もうひとつは、やはり自分でチャンピオンを育てあげることを目標にしています。武元先生の真似はできないけれど、練習自体は武元先生に残していただいたメニューをもとに、自分でアレンジしながら生徒たちを指導しています」
京都南部の私立高校ボクシング部の礎(いしずえ)を築いた武元氏は、鹿児島県の南方に位置する沖永良部島(おきのえらぶじま)出身。日本大学卒業後に教員となり、南京都高校ボクシング部には創部2年目から指導者として携わった。
「京都はもともとボクシングが盛んではない町ですが、南京都高校の理事長が口永良部島出身だったので、そのつながりで武元先生も本校にいらした。そのときから、ボクシング部を強くしたいとの思いがあられたんです」
その武元氏が徹底した指導理念とは、雑駁(ざっぱく)に言ってしまえば「基礎に忠実であること」だ。
「ボクシングの基本は、やっぱり走り込みです。そして基礎の『型』。野球でいえば、バットの素振りですね。それを武元先生は重視していました。基本は大事です。村田も山中も、基本練習は絶対に手を抜きませんでした。
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