長谷川穂積が選ぶベストバウト。「日本武道館が水を打ったように...」 (5ページ目)

  • 水野光博●取材・文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • 大村克巳●撮影 photo by Ohmura Katsumi

―― しかしその後、あまり海外進出の夢を語らなくなりました。ちょうど、母親のガンが発覚した時期と重なります......。

長谷川 それは全然関係ないです。海外は「行きたい」と言って行けるもんじゃない。ずっと言ってたからって、決まるものでもない。だから言葉にはしませんでしたが、1回、1回、勝っていったら大きい試合が決まり、そこで勝てばラスベガスに行けるだろうと思っていました。

―― なるほど。

長谷川 まさに、その大きな試合がフェルナンド・モンティエル戦(メキシコ/2010年4月30日)です。ここで勝っていれば、次は絶対にラスベガスだったでしょう。負けたから叶いませんでしたけど、チャンスをいただけました。本田(明彦/帝拳ジム)会長に助けていただいたなと感謝の気持ちが大きいです。

―― 今、モンティエル戦でこうしていればよかったと思うことはありますか?

長谷川 一切ないですね。もちろん、試合前にモンティエルの映像を見て、ちゃんとコンディションさえ作れたら負けないと思ったんですけど。やっぱり人生、どこに落とし穴があるかわからなかったですね。

―― キャリアでもっとも印象に残っている試合はどれですか?

長谷川 2階級制覇のタイミング、ファン・カルロス・ブルゴス(メキシコ/2010年11月26日)との試合です。負けたら自殺するくらいの気持ちでやってましたから。あそこが、キャリアの頂点というか。あれ以上の瞬間はないですね。

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