「物語」は終わらない。37歳のマニー・パッキャオが復帰を決めた理由 (4ページ目)

  • 水野光博●文 text by Mizuno Mitsuhiro
  • photo by AFLO

 その勇姿を待ち望んだのは、フィリピン国民だけではない。世界中のボクシングファン、さらには現役世界チャンピオン、そして再起をかけるボクサーもだ。WBC世界バンタム級王者「ゴッドレフト」山中慎介(帝拳)が言う。

「パッキャオの現役姿を見たいファンは多かったと思います。もちろん、僕もそのひとりです」

 4月の敗戦以来となる再起戦を大晦日に行なうことが決まった元WBA世界スーパーフェザー級スーパー王者、内山高志(ワタナベ)も言う。

「恋しかったんじゃないですか、あの緊張感が。僕もそうでした。体力が限界で引退したわけじゃない。また強いパッキャオを見せてくれると思います」

 パッキャオの復帰は、4月の時点で本人ですら「復帰の可能性はフィフティー・フィフティー」と語り、早期復帰を予想する声は後を絶たなかった。さらに、金銭面こそが切実な復帰理由なのではないか、という見方も多い。

 クソ食らえだ。

 そもそもパッキャオは、英雄ではあっても聖人ではない。ギャンブル癖のみならず、世界チャンピオンになる前はシャブ、コカイン、あらゆる麻薬を使用していたことを告白もしている。金だろうとなんだろうと、憶測の復帰理由などに100ペソの価値すらない。

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