2013.08.21

課題山積。山口香が語る「日本柔道界、腐敗の始まり」

  • 木村元彦●取材・文 text by Kimura Yukihiko

『スポーツ紛争地図』 vol.4

 全日本柔連連盟の上村春樹会長がついに辞任した。7月23日に内閣府の公益認定等委員会に呼ばれ、安部晋三首相名の勧告書を渡されたのである。女子代表選手へのパワハラ、助成金不正使用な ど、組織体質としての深刻な問題が表面化したにも関わらず、居直り続ける姿勢に、国が「このままでは公益法人の認可の取り消し措置も辞さず」という強い姿勢に出る、まさに異例の事態であった。8月21日に執行部は全て総辞職となる。

辞任する上村春樹柔道連盟会長 photo by AFLOSPORT 元々、上村会長は10月の辞任を打ち出していたが、6月には上村会長と盟友関係にある世界柔道連盟(IJF)のマリウス・ビゼール会長が来日して擁護する演説を繰り返していた。もうひとつのシナリオとして、9月7日のIOC総会でオリンピックの東京開催が決まればそのままビゼールの庇護を受けて留まるというものがあったという。その前に先手を打たれた格好である。潔(いさぎよ)さの感じられないこの混迷はいつから始まったのか。

 1984年の柔道・世界選手権の金メダリストで、早くから柔道連盟の問題に警鐘を鳴らしてきた山口香さんに話を聞いた。

――遅きに失した感もありますが、ついに国の勧告によって上村会長の辞任と執行部の総辞職が決まりました。全柔連の改革が叫ばれてもはや久しいなか、結局、最後は官の介入でした。確かに第三者委員会を立ち上げるのは良かったと思うんですが、何回も作っているとこれは競技団体の恥なわけですね。 つまり自浄作用がないということの宣言に他ならない。

「もうここまでくると、恥とかプライドが、なくなってしまっていました。第三者委員会は法的な拘束力がないので、アリバイづくりみたいなものになっていましたね。『私たちはこれを真摯に受け止めて、直していきます』とは言うんだけども、『とりあえず急場をしのいでいこう』そんなふうにも見えてしまう」