五輪の金メダルが見えた!世界水泳で証明した渡部香生子の強さ

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫/フォートキシモト●写真 photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

8月特集 リオ五輪まで1年、メダル候補の現在地(3)

 ロシア・カザンで行なわれている世界水泳競泳3日目の8月4日。4位となってしまった100m平泳ぎ決勝のあとに渡部香生子はこう口にしていた。

200m平泳ぎで、最後に伸びを見せて見事金メダルを獲得した渡部香生子200m平泳ぎで、最後に伸びを見せて見事金メダルを獲得した渡部香生子「ちょっと前までは世界の舞台で、100mでメダルを獲るというのはあまりイメージできていなかったことだし......。それでもここまで来られたのは、来年に向けていいステップになったのではないかなと思います」

 そう前向きに話す一方で、表情には悔しさが滲んでいた。最後は3レーンのアリア・アトキンソン(ジャマイカ)をかわしたかに見えたが、タッチの差で0秒01届かない1分06秒43でメダルを逃した。

 1分05秒台の自己ベストまでいかなくても、あと0秒08速く泳いでいれば12年ロンドン五輪と13年世界選手権連勝で世界記録保持者のルタ・メイルティテ(リトアニア)をかわして2位に入ることもできていた。それを考えれば悔しさも増してくる。

 その前日には渡部も、笑顔を爆発させていた。平泳ぎ準決勝のあとにあった200m個人メドレー決勝では、世界記録を樹立したカティンカ・ホッスー(ハンガリー)に次ぐ2位で銀メダルを獲得したからだ。2種目目の背泳ぎ終了時には8位ながらも、得意の平泳ぎで4位まで上げると最後の自由形で猛然と追い込むという執念を見せたレースだった。

「竹村先生からは足が千切れてもいいから頑張って泳いで来いと言われていたので。途中で2番もあるかもしれないと思ったけど、それよりもタイムの方にすごいびっくりしたという感じです。出ても8秒台後半だと思っていて、4秒台まで行くとは思っていなかったので......」

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