星奈津美、金メダル獲得。自覚した「リオ五輪金メダル」への責任感

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫/フォートキシモト●写真 photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

8月特集 リオ五輪まで1年、メダル候補の現在地(2)

 世界水泳選手権競泳5日目、8月6日の女子200mバタフライ決勝。準決勝をトップで通過した星奈津美(ミズノ)は、決勝も最後までスピードが衰えなかった。3位で最後のターンをして、浮き上がってからすぐに先行するふたりを捉えると、ラスト25m手前で単独トップに立った。

200mバタフライで金メダルを獲得した瞬間、笑顔を見せた星奈津美200mバタフライで金メダルを獲得した瞬間、笑顔を見せた星奈津美 その後はひと掻きごとに差を広げ、2位にあがってきたカミール・アダムス(アメリカ)に0秒84差をつける2分05秒56で優勝。日本競泳女子初の世界選手権の金メダルを獲得するとともに、来年のリオデジャネイロ五輪代表の内定も決まった。

 それでも勝利を喜ぶ姿は控えめだった。星は、「金メダルという重みのあるものを獲れたのはすごく嬉しかったですが、久しぶりに2分5秒台を出せてしっかり優勝できたということでホッとした気持ちでした」と照れくさそうに話す。

 大会に入ってからの星は順調だった。「平井先生に『プルは強くなっているから、ストロークを大きくしてもいける』と、言われていたのでそれを意識して泳いだ」という100mは準決勝で敗退だったが、自己記録を0秒01更新する58秒45で泳いでいた。

 そして200mでも、5日午前の予選は「前半はどのくらいでもいいから、後半の100mは1分5秒台で帰って来い」という平井伯昌(のりまさ)コーチの指示通りに後半を1分5秒75でまとめて、5位通過。予選のあと「前半の100mは1分2秒台だったけど、準決勝では1分0秒台で入りたい。2分6秒台前半を出しておけば決勝でも勝負できると思う」と話していたように、午後の準決勝では想定通りの泳ぎで今季世界ランキング1位のフランチェスカ・ヘントケ(ドイツ)などを抑えてトップ通過を果たした。

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