【月刊・白鵬】横綱もグッときた、千代の富士の「還暦土俵入り」

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

第51回:千代の富士

元横綱・千代の富士(現九重親方)の還暦土俵入り。写真右から日馬富士、千代の富士、白鵬。元横綱・千代の富士(現九重親方)の還暦土俵入り。写真右から日馬富士、千代の富士、白鵬。夏場所(5月場所)が終わったあとも休む暇なく、
さまざまな行事やイベントをこなしてきた横綱。
なかでも、九重親方(元横綱・千代の富士)の、
還暦土俵入りには感銘を受けたという。

 先の夏場所(5月場所)では、久しぶりに初日に黒星を喫してしまいました。逆に中日となる8日目には、久しぶりの不戦勝で、戦わずして白星をいただくという、ラッキーな出来事もありました。長い間、休むことなく土俵を務めていると、こんなこともあるんですね。その日は、土俵の神様が与えてくださった休養だと思って、後半戦への決意を新たにしました。

 そして迎えた11日目、春場所(3月場所)で1横綱2大関を倒して13勝を挙げ、殊勲賞と敢闘賞を受賞した関脇・照ノ富士と対戦しました。この夏場所では大関取りも視野に入っていて、さらに勢いを増していましたが、照ノ富士が春場所に下した「1横綱」というのは私のこと。それだけに、ここでは負けられないと思っていました。

 しかも、この場所では私も2度目の7連覇がかかっていました。幸い2日目以降は順調に白星を重ねていましたから、その目標達成のためにも負けられない一戦でした。

 そんな私の気持ちが上回ったのか、この勝負は私が勝利しました。春場所のように手間取ることもなく、タイミングよく上手出し投げが決まりました。

 この結果、照ノ富士は3敗目。その後も、大関(稀勢の里)戦を残していましたから、照ノ富士の大関昇進はかなり難しくなったと思われました。実際、照ノ富士自身、あきらめムードだったようです。

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