【男子バレー】ロス五輪へあと2勝 36歳セッター・深津英臣の「対話力」がコンビの精度を上げる (3ページ目)
事実、ラリーは今大会でも尻上がりに調子を上げ、準々決勝インド戦では5本のクイックを決め、50%というアタック決定率を誇っている。高い打点でのアタックは雄壮だった。また、彼が警戒されることによって、他のスパイカーはブロック枚数が減った状態で打つことができていた。
同じくミドルの山内晶大も、パナソニックパンサーズ時代にチームメイトだった深津の"対話力"を称賛した。
「オミさんはうまいし、『トスちょうだい』と言いやすいですね。VNL(ネーションズリーグ)の時も、『1セット目、2セット目で1本しか打ってないんですけど...』と伝えて......。もちろん、オミさんの配球もあるだろうし、シチュエーション次第なのは承知のうえなんですけどね」
セッターとスパイカーは対話を重ねることでコンビの精度を上げる。試合がない日の練習でも、午前、午後とスパイクのクオリティーを高めているという。今後、山内との旧知のコンビが噛み合うこともどこかであるはずで、対話は基本だ。
セッターは、頭をフル回転で使うポジションと言える。高いトスが好きなスパイカー、速いトスが好きなスパイカーなどさまざまな個性が混在するなか、それぞれのよさを引き出さなければならない。同時に敵のブロッカーの高さやスピードや癖を見極め、状況に適応させる必要もある。また、組み立ても重要で、いくら石川や髙橋が優れていても、一辺倒では通じない。そして、膨大なデータからベストの選択ができたとしても、決まらないこともあるのだ。
「(ロラン・ティリ)監督からも、『コミュニケーションを取り続けることが大事』と言われているので。そこは大切にしていますね」
深津はそう言って、コートに立つことを楽しむという。
「プレッシャーもあるので、楽しいだけではないです。でも、緊張感も含めて楽しめていますね。どう楽しむのか、というところを自分に問いかけて。自分はバレーが好きだし、この舞台でやれるありがたみを感じながら」
12日、準決勝の韓国戦でも、深津のトスワークがカギを握るのは間違いない。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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