【女子バレー】山口真季のブロックはチームを立て直す引き金に イラン戦でも見せた「光明」 (3ページ目)
山口は自分に余計な重圧をかけない。ネガティブではない、一種の諦観か。
ただし、ブロックへの衝動は抗えなかった。
「やっぱりブロックで得点したときは楽しいですよ。特に、身長190cmくらいの外国人選手のスパイクを止めるとうれしい! 身長が高い選手と渡り合って勝つ、ミドルとしてはその姿を見せたいですね」
山口には彼女だけが辿り着いて目にしている風景があるのだろう。それは誰にも奪えない。それが日本人ミドルのなかで異彩を放つ理由だ。
たとえば、山田二千華はサーブも得意なオールラウンダーで身長が184cmと高いだけでなく、機動力もある。宮部藍梨はポジションもオポジットやアウトサイドで登録されることもあるなど、独特のリズムも武器だろう。島村春世は現代表の主力として移動攻撃や速攻など攻撃は多彩、アジア選手権も貴重な得点源だった。コンディション次第で、荒木彩花もスケール感のあるミドルで人材に華を添えるだろう。
山口のブロックは、チームに新たな爆発を起こす引き金になる。日本の伝統芸と言える高いレシーブ力と連係を生かしたブロックディフェンスの緻密さが狂ったとき、飄然とした戦いは救いになるはずだ。
「目の前のことをやる、というのが自分の持ち味で、長所」
山口は淡々と言う。できることに専念する縛りによって、最大出力を可能にしている。その割り切りは、敵には厄介で、味方には頼もしい。そんなことを証明したアジア選手権の台湾戦、イラン戦だった。
著者プロフィール

小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
3 / 3


