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【男子バレー】髙橋藍を擁するサントリーがペルージャに連敗 欧州王者から得たものとは (2ページ目)

  • 小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki

【勝つためには楽しまないといけないし、楽しむためには勝たないと】

 あくまでプレシーズンの親善試合で、勝ち負けにはこだわってはいない。しかし、髙橋は勝負の中で「1点の重み」を刷り込んでいるようだった。それは24歳になる彼が目指す、"唯一無二のバレーボール選手"になる手がかりでもあるはずだ。

 バレーボーラー、髙橋藍が世界の伝説的トップアスリートの領域に入る"最後のピース"とは?

 今年3月のインタビューで、彼にそう訊ねた。

「一番は結果だと思います。スポーツは結果が出なければ、どんなにマーケティング面で頑張って、スポンサー関係で協力してもらっても説得力がない。自分はバレーで結果を出し、営業活動もしたい。結果が出ていないと、(説得力がないから)したくはないですね。まずはバレーで結果を出す、それで自分の価値も上がる。

パリオリンピックでは(目標の)メダルを取れなかったですけど、自力で出場権を得て、視聴率も高かったそうで(イタリア戦は大会競技の中で最高視聴率)。男子バレー(の日本代表)はネーションズリーグで2、3位になるなど世界上位を繰り返し、強くなって人気も出てきました。自分たちがさらに結果を出せば、人気は上がるはずです」

 髙橋には彼にしかできないアプローチがある。彼ほどマスコミの前に立って、発信できるアスリートはほかの競技でもなかなかいない。それは日本男子バレー界の財産だ。

 一方、髙橋は誰よりも目の前の勝負にこだわる選手で、その勝利こそが人気にもつながることも信じている。

「何十年もバレーをやってきて、どうしても作業というか、生活の一部になっちゃうところもある。でも、やるからには楽しんでやるのが、自然と自分らしいプレーにつながっていると思います。ただ、"楽しむ"心境に辿り着くには、海外とかいろんな環境でバレーを経験し、そのたびに乗り越えてきた自信が土台にあるかもしれません。おかげで楽しんでプレーできるし、お客さんに伝わるのかなって」

 髙橋自身、大学在学中にイタリア、セリエAの戦いに身を投じている。勝つためには楽しまないといけないし、楽しむためには勝たないといけない。そのロジックを刻み込んできた。

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