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【男子バレー】石川祐希の姿が街のあちこちに... 世界バレー開催地フィリピンで見たもの (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki

【五輪王者フランスも敗れる波乱】

9月14日

 前日の初戦で日本はトルコに敗れていた。ホーム同然の大歓声を受けていたが、流れをつかめなかった。ランキングを考えれば、「波乱」になるのだろうが......。

 トルコは完全敵地のなか、日本対策を万全にしていた。まさに乾坤一擲。見たことのない変化をするサーブで、ブレイクによって日本の流れを断ち切った。試合後、トルコ国旗を持った少年がはしゃいでいたのが印象的だ。

 午後はフィリピンのサッカーリーグ王者、カヤFCを率いる星出悠監督をホテルでインタビューする。星出監督はフィリピンで15年目になるという。アジアチャンピオンズリーグでも勝ち点を獲得し、日本人監督が世界の一角で活躍しているのだ。

 話が盛り上がったので、フィリピン料理店で会食。ナショナルビールとも言える「サンミゲル」を注文し、シシグ、アドボ、ガーリックライスなどを次々にオーダーした。一番先に来たシシグは豚肉料理で、頭蓋骨を砕いて出た肉、耳や内臓の一部を混ぜ、鉄板でカリカリになるまで焼くのだという。これがビールに合って癖になる。アドボは豚肉を醤油、お酢、ニンニクに漬け込んだものを煮た料理で、ソウルフードのひとつだ。

 店内はほとんどが若者、もしくは子どもで、活気が感じられた。なんと国民の平均年齢は24歳。ウェイター、ウェイトレスがかいがいしく働き、若々しさに満ちていた。世界バレーを開催できたのも、その市場の将来性が注目されているからだろう。

9月16日

 日本はカナダにストレート負けし、早くも大会敗退が決まった。メダルも期待されていたからこそ、失望も大きかった。取材者としても脱力感が半端ではない。帰国便の変更や宿のキャンセルに追われた。

 ただ、まだ大会は終わっていない。

 その日はフランスが決勝ラウンド進出をかけ、日本が沈んだ会場でフィンランドと戦っていた。下馬評ではフランスが絶対的有利だった。五輪王者でイアルバン・ヌガペト、アントワーヌ・ブリザールなど世界的な選手たちを擁している。

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