【男子バレー】石川祐希が振り返る世界バレーの実相 「"流れ"は大きいと思いました」 (2ページ目)
【「日本は強いと見られているのを感じた」】
大会を通じ、選手ひとりではどうしようもない流れのなか、石川がリーダーとして打開策を見つけようと必死だったのは間違いない。ペルージャで最多得点を挙げて欧州王者になった猛者であり、それだけの実力と経験がある。しかし"チームのために"という献身と同時に、スパイカーとしてエゴを見せて決定率を上げるという作業には、相反するところもあって、簡単ではない。
それが今大会、流れに飲み込まれた理由のひとつではないか。
「確かに"流れ"は大きいなって思いますね。トルコもイタリアでやっている選手が増えていたし......」
石川はそう言って、整然と続けた。
「今大会でいうと、ランキングが下位のチームが上位のチームに勝つケースが多かったです。フィンランド、ベルギー、ポルトガル、ブルガリアもそうで、イタリアやポーランドの強いリーグで結果を残した選手たちが代表に戻って活躍し、強くなっている傾向を個人的に感じたので。そうした選手が自信を持ってプレーしたとき、日本が勢いで負けてしまったり、逆に勢いが通用しなかったり......僕たちの試合だけでなく、いろんな試合を見て感じました。試合のなかでの"流れ"(をものにするのに)は、レベルの高いクラブで選手が戦うことも大事だと個人的に思ったシーズンですね」
石川は世界最高峰のセリエAで長くプレーし、傑出した実力者である。率直に言って、彼のような逸材はプレーに集中させるべきではないかという気もするが、彼が日本でキャプテンとして重圧を力に変えてきたのも事実である。だからこそ、代表チームは全体として石川をひとりにするべきではないだろう。キャプテンであり、エースである彼が燃え立つことで、ようやく日本は日本らしくなるからだ。
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