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【男子バレー】世界バレーで何が起きていたのか? 石川祐希が明かした「新チームの難しさ」 (2ページ目)

  • 田中夕子●取材・文 text by Tanaka Yuko

【チームを鼓舞し続けた髙橋藍】

 終わりよければすべてよし、と言うにはあまりに苦しかった世界選手権。4年に一度の開催から、2年に一度へ開催サイクルが変わり、五輪を終えた翌年に行なわれる。レギュレーションの一新に加え、指揮官が代わり、コートへ立つ選手が代わるように世界各国も変化の年。さらに国際大会のなかでは最も多くの出場国が参加する世界選手権は、ネーションズリーグなど国際大会の出場機会が限られる欧州勢の出場枠も広がった。その出場国のなかには、世界ランキングでは下位でも世界のトップリーグやトップクラブに在籍する選手を擁した強豪国がいくつもある。

 そんなチームにとって世界選手権はランキング上位国に勝てば一気に自チームのランキングを上げる千載一遇のチャンスでもある。開幕前には世界ランキングが5位まで上昇した日本も、「勝てばランキングが上がる」と下剋上の対象となる強豪チームのひとつだった。

 強豪国に勝つにはどうするか。初戦のトルコが見せた戦いぶりは、まさにこれまで日本が世界の強豪を追い、その上に行くために実践してきた戦い方そのもの。強烈かつコースの幅も広いサーブでビッグサーバーが得点を重ね、攻撃が単調になればブロックとレシーブが連携したトータルディフェンスで切り返し、パワフルな攻撃でブロックと心を打ち砕く。連続得点のダメージが重くのしかかるなかで流れを払拭することができず、手痛い1敗を喫した。

「終わったことを見ていても仕方ない。切り替えるしかないし、僕はもう次を考えてやるだけだと思っています」

 トルコ戦を終えた髙橋はそう言い、2日後のカナダ戦でも最後までチームを鼓舞し、「攻めなければ負ける」と戦う姿を見せた。だがサーブで攻めきれず、懸念していたミドルの攻撃を立て続けに決められ、何とかディフェンスで防ぎ、ラリーに持ち込んでもオポジットの攻撃が日本のブロックをもろともせずに叩き込む。点差以上にのしかかるダメージが終盤のミスにつながり、カナダ戦でもセットを取ることができないままに敗れ、連敗を喫した。

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