【女子バレー】イタリア人記者が見た日本代表 「金メダルに挑む基盤は整いつつある」 (2ページ目)
【スパイクに重量感が増した石川】
3位決定戦では、0-2と追い込まれたところで、アクバシュ監督が試合を立て直すために動いた。セッター関菜々巳に代えて中川つかさを投入。するとチームはリズムを取り戻し、タイブレークに持ち込んだ。しかしその場面で、日本はさらなる手を打つ必要があったのではないかと思う。
ブラジルは日本の動きに冷静に対応し、的確な戦術を実行した。新たに入った中川は、技術的には高いが、身長は159センチと低いため、ブロックは弱い。ブラジルは彼女のいるゾーンを集中的に狙ってきたのだ。この時、ベンチができた対応はふたつあった。ダブルチェンジで高さを確保するか、あるいはもっと単純にいくつかのローテーションで中央に一枚多く入れることで壁を厚くするか。しかし、どちらの手も打たれなかった。
おそらくおそらくここが、金メダルを手にしたイタリアとの違いだ。23年ぶりに頂点に立ったイタリアにとって、フリオ・ベラスコ監督は「付加価値」そのものだった。パオラ・エゴヌ、ミリアム・シッラ、アレッシア・オッロ、サラ・ファール、モニカ・デ・ジェンナーロら、選手の力に加え、監督の難局を打開する柔軟さと決断力が、イタリアに勝利をもたらした。
それが最も顕著だったシーンが、決勝トルコ戦でのタイブレーク。8-7となった時点でオッロとエゴヌを下げ、エカテリーナ・アントロポワとカルロッタ・カンビを投入した采配だ。ロシア系で身長202センチのアントロポワのブロックでチームは9-7とリードを広げ、一気に金メダルへと駆け上がった。
今回はメダルに届かなかった日本だが、2027年の世界選手権、2028年のオリンピックでは十分に希望があると思う。1974年メキシコ大会以来遠ざかっている金メダルに挑む基盤は整いつつある。
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