バレーボール日本代表に「新しい風」甲斐優斗、小川智大...ネーションズリーグファイナル進出に貢献 (3ページ目)
そしてファイナル進出をかけたアメリカ戦も、小川は最高殊勲者のひとりだった。ミドルブロッカーと連係したディグは神業的。堅牢な守りが攻撃を支え、3-0のストレート勝利をもたらした。
「小川選手とはふたりで組んで、やれている手ごたえがあります。(パスが)上がるシチュエーションはしっかりと増えているかなって」
髙橋もその守備力を称賛している。
「小川選手は非常にディフェンスの幅が広い。レセプションに関しても助かっているところが多いですし、おかげでスパイクに集中できていると感じますね。自分が(レシーブに)行っていたところも小川選手が行ってくれるので、守備範囲が広くて助けられています」
小川が山本と競争することで、日本のリベロは盤石と言える。ふたりがしのぎを削ることで、防御力は担保されるのだ。しっかりとボールを上げ、攻撃につなげることを戦いの信条とする日本にとっては礎石となる存在だ。
上記のふたり以外にも、伏兵が台頭した。ミドルブロッカーの西本圭吾(26歳、広島サンダーズ)はブラジル戦でブロックポイントを取り、クイックも次々に決めている。同じミドルブロッカーの佐藤駿一郎(25歳、ウルフドッグス名古屋)もアメリカ戦では要所で205センチの高さを生かしていた。アウトサイドヒッターの西山大翔(22歳、大阪ブルテオン)もブラジルを相手に途中出場で7点を奪い、スパイク決定率は50%を記録した。
パリ五輪主力メンバーのアップデートが、ティリ監督の仕事になる。同じメンバーになるにしても、競争がなかったら集団は弱体化するだろう。チームの強靭化には新しい血が必要になる。
7月30日から中国で始まるネーションズリーグ、ファイナルラウンドは格好の舞台だ。準々決勝、日本はポーランドとの対戦が決まっている。
著者プロフィール
小宮良之 (こみやよしゆき)
スポーツライター。1972年生まれ、横浜出身。大学卒業後にバルセロナに渡り、スポーツライターに。語学力を駆使して五輪、W杯を現地取材後、06年に帰国。著書は20冊以上で『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など。『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューし、2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を刊行。パリ五輪ではバレーボールを中心に取材。
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