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バレーボール日本代表に「新しい風」甲斐優斗、小川智大...ネーションズリーグファイナル進出に貢献 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 能登 直●撮影 photo by Noto Sunao(a presto)

【神業的な守りを見せた小川智大】

 続くブラジル戦は、さらに出場時間が長くなった。相手には力の差を見せつけられたが、スパイク力は強豪を脅かしていた。何より、サーブで流れがきそうな気運が漂い、そこにスター性を見出せた。

「(ブラジルは)鋭角なところに落としてきたり、自分たちもつなぎのところで惜しくも取りきれなかったり、そこの差が結果に出ましたが......まだまだ自分ができるという準備はしています」

 セットカウント0-3で完敗したブラジル戦後、甲斐はわずかに悔しさを滲ませながら、こう続けている。

「サーブの部分では自信を持って打てています。これからも、そこは上げていけたらと思っていますね。(劣勢の展開で)なんとかしたいって気持ちでプレーしていましたし、そこまで差があったとは思っていません。自分が力不足で悔しい部分はありますが、これから調整し、また出場機会を得られるように......」

 もうひとり、新たな風を吹かせたのは、ネーションズリーグ全体でベストディグのランキングで4位につけるリベロの小川智大(29歳、サントリーサンバーズ大阪)だろう。

 小川はもともと山本智大(30歳、大阪ブルテオン)と並ぶ実力者だが、パリ五輪はサポートメンバーとして過ごしている。現地でチーム練習に参加しながら、五輪メンバーがチームスタッフたちと移動する一方、エバデダン・ラリーとふたり一緒に自転車で別の場所に移動。チームを全力でサポートしながらも、忸怩たる思いだったはずだ。

「やはり、小川のディフェンスがすばらしかった。とにかく拾いまくっていた」

 アルゼンチン代表で、SVリーグの2024-25シーズンは日本製鉄ブレイザーズ堺でプレーしたルシアノ・パロンスキーは試合後、そう言って感嘆していた。最多得点を記録したアタッカーの目から見ても、信じられないディグだったという。

 劣勢だったブラジル戦も、小川は髙橋藍あるいは富田将馬(28歳、大阪ブルテオン)と組んだディフェンスシステムを機能させていた。ディグ(スパイクレシーブ)、レセプション(サーブレシーブ)と堅牢さを誇った。しっかりとパスを返すことで攻撃につなげていた。

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