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バレーボール男子日本代表で注目の若手から石川祐希まで、柳田将洋が解説するプレースタイルと意外な素顔 (4ページ目)

  • 市川忍●取材・文 text by Ichikawa Shinobu

【もっとプレーが見たい選手】

■小川智大(おがわ・ともひろ) リベロ/サントリーサンバーズ大阪

 僕はそれほど多くの時間、小川選手と話したことがないんですよ。他の選手に比べたら、会話した回数は圧倒的に少ないと思います。ですから人柄については正直よく知らないのですが、コートの反対側から見ている立場として語らせてもらうと、リベロとしては欠点がないですね。

 現在、日本のバレーボールでは当たり前のようにリベロがコート内で指示を出し、ディフェンスを指揮するのが当たり前になっています。小川選手もそういった統率力に優れたリベロのひとり。VNLでも見事にコート内をコントロールしていると感じます。リベロはボールがもっとも飛んでくる場所に身を置くべきだと思うのですが、実際行動に移すのは難しい。結果論になってしまうので、他の選手と守る位置をチェンジするのは勇気のいる選択なのですが、それを躊躇なくやってのけるのが小川選手のすばらしいところ。瞬時に判断して、守備位置を隣の選手とスイッチして、しかも結果に繋げられるのは小川選手の強みですね。

 山本智大選手と小川選手はよくライバルだと言われますが、焦点を当てる側面を変えれば小川選手のほうが優れている部分もたくさんあります。同じ時代に生まれているお互いの不遇さも感じますし、リベロポジションをひとりしか選べないオリンピックのルールにも不満を言いたくなるくらいのもったいなさですよね。

■石川祐希(いしかわ・ゆうき) アウトサイドヒッター/ペルージャ

 数えきれないほど彼については語らせてもらっていますが、現時点で見える石川選手の変化といえば、サーブ時にトスを上げる手が変わったこと。そしてサーブレシーブの方法が変わったことなどでしょうか。そこは見ている方たちに注目してほしい部分ではあります。リーダーシップに関しては、この数年間で大きく変化してきた姿を僕らに見せてくれています。今シーズンも同じように彼らしくリーダーシップを発揮すると思いますし、試合中は彼らしくバレーボールを楽しんで戦うと思っています。

 見どころは今年、選出された新しいメンバーとどんなケミストリーを起こしてくれるのか。石川選手とセッターの大宅選手のコンビネーションはどうか。以前もともにプレーしたことはありますが、セッターの永露元稀選手と何か新しい試みはあるのか。どういったバレーボールを繰り広げてくれるのかが楽しみですね。

 石川選手はどちらかといえばオフェンシブな選手だと思っているので、これまでは対角に入るのは高橋藍選手のように守備が得意な選手が最良だと思ってきました。ただし、このVNLに限っては、石川選手のコンディションを考慮すると、石川選手が守備的な役割に徹し、対角に攻撃を得意とする選手が入るパターンもおもしろいかもしれません。

 そう考えるとVNLに登録されているアウトサイドヒッターは富田将馬選手を筆頭に攻撃も守備も両方得意な選手が多いので、どんな組み合わせでもマッチすると思います。

 ただ、仮に出場しないとしても、彼がチームに帯同し、他の選手と一緒に活動することに意義があると考えています。昨シーズンの経験を、代表経験の浅い選手に伝えてくれることはチームにとって大きいと思います。

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柳田将洋(やなぎだ・まさひろ)/1992年7月6日生まれ。東京都出身。186㎝。アウトサイドヒッター。2023年から東京グレートベアーズ所属。東洋高から慶應義塾大に進学し、全日本メンバーには大学3年で初登録された。2015-16シーズンにはVプレミアリーグで全試合に出場し、最優秀新人賞を受賞。2017年のプロ転向後、ドイツ、ポーランドでもプレー。日本代表としては、2018年からキャプテンを務めるなど、中心的存在として牽引。直近では2023年の杭州アジア大会代表で、銅メダル獲得に貢献した。

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