石川祐希が感じる男子バレー日本代表の進化 でも「達成感はまったくない」のはなぜか (3ページ目)
【「個」でも戦えるチームになった】
――東京五輪で8強入りして以降、昨年のネーションズリーグは準々決勝で敗れ、世界選手権では東京五輪王者のフランスにベスト16でフルセットで惜敗しました。惜しいところまでいっても、なかなか越えられなかった壁を今回は乗り越えましたが、チームとして成長した点はどこだと考えていますか?
「ひとりひとりがプレーの精度を上げたと思います。困った時でも『チームでなんとかする』というよりは『個人頼り』で乗り越えられています。僕や高橋藍選手、宮浦健人選手、西田有志選手などが流れを変えたり、相手に流れを渡さないプレーができたというのは、大きな要因。『ひとりでも戦えている』というか、『個』が際立っているケースが多かったですね。そこが成長したから、強い国が相手でも戦えていたと思います」
――局面、局面で、個と個の勝負で負けなかったからこそ、強豪国と渡り合えたと。「個で負けない」ということは、石川選手がずっと言い続けてきたことですね。
「それが形になってきたと感じます。海外リーグを経験している選手も増え、そのことが個で戦える力につながっていると思います。それでも、まだ僕たちは経験不足です。ポーランド戦も自分たちのミスから崩れて、流れを渡してしまいました」
――主要国際大会では46年ぶりのメダル獲得となりました。何か感じることはありますか。
「やっとこのステージに立てたというか、このレベルまでこられたなと感じます。メダルを1個取るだけでもチームとして自信になるし、逆に、周りから日本がマークされる存在にもなります。あとは、コート外でも喜んでくれる人が増えますよね。今回、空港にもあれだけファンの方が来てくれましたし、新聞でも一面で取り上げてくれましたし、どこに行っても『試合を見ました』と声をかけられます。メダルを取っていなかったら、ここまで反響はなかったと思うので、メダルを取ることの重要性をあらためて感じました」
――達成感はありますか?
「メダルを取った瞬間はめちゃくちゃ嬉しかったですが、達成感はまったくないです。今シーズン最大の目標はOQTなので、あくまで通過点。そのひとつの大会で結果が出ただけなので、ちょっと安心した、という感じでしょうか」
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