パリ五輪へ竹下佳江が期待するセッター。女子バレー界が「明るい未来」のためにやるべきことも提言 (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

――東京五輪で苦しい戦いが続いたなかで、古賀選手が存在感を示し、若い選手の中では石川選手が奮闘していたように思います。2人のプレーを振り返るとともに、Vリーグでどんな活躍を期待していますか?

「国民の多くが『女子バレーは物足りなかった』と感じたであろうなかで、古賀選手は韓国戦で"熱さ"を見せてくれました。そういう熱は、テレビ画面越しでも伝わることを実感しましたね。選手としてひと皮もふた皮もむけたのかな、と感じました。

 石川選手に関しては、気持ちの熱さは表に出にくくても胸の内に秘めていて、勝負所で頑張って決めてくれる選手だと思いました。高さはないですが、テクニック面でもっと磨ける部分があるようにも感じます。ただ、サーブに関しては、特に最後のほうで入れにいくだけになっていたのが気になりました」

――それは石川選手本人も、直していかないといけないと口にしていました。具体的にはどういったところを修正すべきなのでしょうか。

「あそこはメンタル的な部分が大きいと思います。試合の勝敗、次の1点が次第に重要になっていくなかで、慎重になりすぎてしまったこともあるかと。技術を高めつつ、そういった場面を想定した練習を重ねるといいのではないかと思います。

 また、前日本代表HCのエディー・ジョーンズさんのもと、2015年のラグビーW杯でメンタルコーチを務めた荒木香織さんのように、ネガティブな心情をポジティブに変えてあげられる存在が必要かもしれません」

――女子バレー界は、ここからどう立て直していけばいいでしょうか、

「私が直接できることは限られているので、あくまで個人的な意見になりますが......大会の振り返り、今後の対策なども話し合われているかもしれません。Vリーグが間もなく始まりますが、日本の女子バレーがどこを目指していくのかといった指針を早く示してほしい。もちろん私を含めた組織側の人間、選手たちも自立して、女子バレーの未来と強化について考えていく必要があります。

 スポーツをする子供たちにバレーボールの魅力を感じてもらいたいですし、誰もが『日本代表を目指したい』と思える魅力的な組織であってほしいと思います。全員で、明るい未来を切り開いていきたいですね」

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