石川真佑と黒後愛。女子バレーの若きエースが攻守両面で見せる進化 (2ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by Sakamoto Kiyoshi

 石川の得意な攻撃のひとつに、兄・祐希を彷彿とさせるフォームから繰り出される、超インナーに打つクロススパイクがある。高校時代、兄からLINEでスパイクについて細かくアドバイスをもらっていたことから似たのだろうが、打ち方は練習から強く意識しているという。「今は捻りを使った打ち方を心がけている」そうで、「(スパイクは)昨シーズンよりもよくなっていると思います」と手ごたえを掴んでいる。

 進化したのはスパイクだけではない。石川は昨年のW杯で奮闘した、日本男子チームの試合を見て「サーブを自分の武器にしなければいけない」と強く思ったという。もともと効果的なサーバーだったが、ミスも多かっただけに「体重を乗せたサーブを、ミスなく安定して打てるように(練習で)本数を多くした」と磨きをかけた。

 石川のサービスエースでの得点は、現時点でリーグ4位の10点。皇后杯でも対戦相手のサーブレシーブを崩すシーンがたびたび見られるなど、早くも強力な武器にしつつある。

 一方のチームの守備面については、ボールを簡単にコートに落とすことがなくなった。単純にサーブレシーブ、スパイクレシーブの質が上がったこともあるが、数字に表れていない「つなぎ」の部分が昨季よりも格段によくなっている。チームの新主将である黒後も「(現役時代に守備がよかった)越谷監督の影響ですね」と笑顔を見せた。

 今の越谷体制になるにあたって、主将に任命された22歳の黒後。重圧もあるだろうが、チームのまとめ役としての意識についてこう話す。

「いろんな思いがあって(越谷監督が)私を主将に任命してくださったので、その思いをしっかり受け止め、チームをまとめています。ただ、『誰かのように』といったことは考えないようにしています。ありのままの自分で、自分らしい主将像を持って、いいところを出していきたいです」

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