2020.12.18

石川真佑と黒後愛。女子バレーの若きエースが攻守両面で見せる進化

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • photo by Sakamoto Kiyoshi

 今季のバレーボール「V.LEAGUE DIVISION1女子」は、東レアローズがアツい。

 皇后杯のためリーグは12月6日の週で中断しているが、そこまで13戦全勝。皇后杯でも順当に勝ち上がり、12月19日に行なわれる決勝へと駒を進めた。その中心にいるのは、日本代表の若きエース、黒後愛と石川真佑だ。

リーグ無敗の東レを牽引する石川(左)と黒後(右) 女子バレーの名門・下北沢成徳高校の先輩後輩でもある2人。黒後は、高校3年時に主将を務めて春高バレー連覇を果たし、東レに加入して今季で4年目。対する2年目の石川は、男子代表の絶対エース・石川祐希の妹で、代表デビューとなった昨年のW杯では堂々たる活躍を見せた。

 この2人を含めてチームが好調なのは、今季から指揮を執る越谷章監督のもと、チーム戦術やシステムが変わったことが影響している。越谷監督は現役時代に男子代表で活躍し、2004年アテネ五輪最終予選では主力としてプレー。攻撃ではパワーや高さよりも、技術の高さからくる「いやらしさ」が光る選手で、レシーブも柔らかく守備にも定評があった。

 現在の東レにも、その"色"が出ている。

 まず攻撃は、9mのコート幅いっぱいに使い、レフト、ミドル、ライトの選手が同時に仕掛ける。ミドルの選手が相手ブロックを引きつけ、空いたところに黒後や石川が素早く内側に切り込んで打つことも多い。すばしっこい黒後と石川に気を取られると、大砲のヤナ・クランが強打を決める。もともと攻撃力がある3人がさらに噛み合い、隙がなくなった。

 皇后杯の準決勝で東レに0-3で敗れた、岡山シーガルズの主将・川島亜依美も、東レの攻撃について「黒後選手や石川選手の巧さのあるスパイクに目が慣れていない。東レさんの攻撃はこちらの想像を超えることが多く、焦ってしまう部分がありました」と舌を巻いた。

 石川は今の戦術について次のように語る。

「複数の選手が絡む攻撃はチーム全体の戦術ですから、積極的に参加します。私は身長がそんなに高くない(173cm)ので、相手ブロックをどうかわすかは死活問題。今季の攻撃は、代表でも生きると思っています」