坂口佳穂が久々のビーチで見せた成長の跡「トライすべきことはできた」 (3ページ目)

  • 小崎仁久●文 text&photo by Kosaki Yoshihisa

 また、スパイクの助走スタイルやブロックの跳び方、ポーキー(指の背中側を使ったプレー)の技術など、新たなことにチャレンジし、劣勢のなかでも2人のコミュニケーションが途絶えることはなかった。

 ゆえに、「雰囲気は悪くなかった」と村上礼。そして、坂口も「やるべきこと、意識すべきことはできていた。そうしたトライもせずに負けていたら、次につながりませんから」と前向きに語った。

コロナ禍にあっても、地力強化を図ってきた坂口佳穂コロナ禍にあっても、地力強化を図ってきた坂口佳穂 チーム結成以来の2人の目標は、東京五輪出場だった。しかし、五輪自体の延期が決定。3月末からのおよそ6カ月間は、先も見通せず、試合もできず、練習もままならない状況にあった。その期間について、坂口が振り返る。

「ネガティブな気持ちには一切なっていません。オリンピックの1年延期も、私たちに与えられた時間が増えたと思っています。ただ、練習してきたことを(試合で)出すために、『早く試合をしたい』とずっと思っていました」

 今回、坂口と村上礼をはじめ、試合ができる喜びを多くの選手が感じただろうが、海外のワールドツアーはいまだ再開の目処が立っていない。国内ツアーも、ジャパンビーチバレーボールツアー2020の立川立飛大会(10月31日~11月1日/東京都)の、ひと大会が予定されるのみ。それでも、坂口はポジティブな姿勢を見せる。

「チームとしては、国内ツアーでの優勝。個人的には、攻撃力をコンスタントに出すことを、今年の目標に置いています。(この状況にも)焦らず、落ち込まず、少しずつでもコツコツやっていきたいと思っています」

 ようやく行なわれた今季国内初ゲーム。大会形式など普段とは異なる状況にあったが、坂口&村上礼ペアは、この6カ月間で培ってきたものを存分に発揮した。来年の大一番に向けて、着実に歩みを進めていることは間違いない。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る