坂口佳穂が久々のビーチで見せた成長の跡「トライすべきことはできた」 (2ページ目)

  • 小崎仁久●文 text&photo by Kosaki Yoshihisa

 その結果を受けて、村上礼が「練習での課題や、新しくトライしていることが試合の中で出せた」と言えば、坂口も「自分たちの作戦どおりにビーチバレーができた」と言って、2人とも満足げな表情を見せた。

 AからDの各プール上位2チーム、計8チームが駒を進めた決勝トーナメント。プールDを1位で突破した坂口&村上礼ペアだったが、準々決勝となるその初戦で、予想外にも日本のトップランカーである石井美樹(30歳)&村上めぐみ(35歳)と対戦することになった。

 調子が今ひとつだった石井&村上めぐみペアは、予選プールAで1勝1敗。同プール2位での決勝トーナメント進出だったのだ。

 ともあれ、坂口&村上礼ペアにとって、五輪代表に最も近いチームとの対戦は、自分たちの"現在地"を推し量るうえでも、願ってもないことだった。だが、「相手のリズムの試合だった」と坂口が振り返ったように、日本トップチームは付け入る隙を与えてくれなかった。14-21であえなく敗れてしまった。

 試合は、坂口&村上礼ペアがグッドサイド(攻守に有利な風下側)で試合を始めるも、相手の効果的な強打や自らのスパイクミスによって2-5。1セットマッチでは重要なスタートダッシュに失敗してしまう。

 その後も、テンポのいい攻撃や村上礼のブロックなど、要所ではいいプレーを見せながら、簡単にサイドアウトを切らせてもらえず、なかなか点差は詰まらない。2人のレシーブポジションをスイッチし、ゲームの流れを変えようと試みるも、大きな効果は得られなかった。

 結局、村上めぐみのサーブ、石井のブロックと、相手のよさばかりが目立って、点差は開くばかり。決勝トーナメントを迎えて、調子を上げてきた日本のトップチームに屈した。

 ただ、主導権を握れぬ完敗にあっても、坂口と村上礼の表情は決して暗くはなかった。予選プールの2試合同様、ゲーム中の積極性を失うことはなかったからだ。

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