中田久美監督と空白の2年。女子バレー新鍋理沙が涙で明かす復帰ドラマ (3ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

――全日本でも守備面での貢献が大きくなっていますが、レシーブの"コツ"はあるんでしょうか?

「私はあまりボールの正面に入らず、体の横で取るようにしています。ボールの正面に入る意識が高すぎると、相手の速い攻撃に間に合わないこともありますし、ボールが浮いたときに押し込まれる形になってしまうこともありますから。

 なるべく横で取るようにというのは、久美さんに会う前から心がけていたことです。久光に入って1年目は出場機会が少なく、『試合に出るために、私はディフェンスを磨かないといけない』と思い至って、ずっと練習してきました」

――そのコツを他の代表選手に聞かれることもあるんじゃないですか?

「ありますけど、うまく答えられないんです(笑)。"企業秘密"にしているわけではなくて、横で取ることが合わない選手もいますから。『私はこうしてるけど......』とは言いますが、それがいいか悪いかはその選手の判断に任せるといった感じです」

――新鍋選手は全日本に欠かせない選手だと思いますが、2014年の世界選手権後には招集を辞退し、2016年のリオデジャネイロ五輪にも不出場となりました。その頃はどんな心情だったんでしょうか。

「2014年の世界選手権が個人的に全然ダメで、気持ちが折れてしまったんです。全日本はそんな状態の選手がいていいチームではないし、迷惑をかけてしまうので招集を辞退させていただきました。そのときは、一旦気持ちを整理したいなとも思っていました」

――それがリオ五輪まで続くわけですが、それでも久光でプレーを続けられた理由は?

「全日本で戦っていた時期もチームで過ごすことで、それまではリーグが始まってから一緒になることが多かった若い選手と(長く)一緒に練習できたことがプラスになりました。(2014-2015シーズンのファイナル6で)NECに負けた悔しさもあって、『このメンバーで優勝したい』『久美さんを胴上げしたい』という思いが強くなり、プレーを続けることができました」

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