木村沙織、笑顔で終えた現役最後の日。「絶対泣かないと決めていた」 (4ページ目)

  • 中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari
  • 坂本清●撮影 photo by Sakamoto Kiyoshi

 チームメイトやバレー関係者からは、ねぎらいと引退を惜しむ声が相次いだ。

 妹の美里は、「姉と2枚サーブレシーブ体制にすると言われたときは、最初『えっ!』と驚きました。やっていると、必ず私が狙われるんです。それは、私がサーブを打つ人間でも妹のほうを狙いますから(笑)。でも、そういうときにいつも姉がカバーに入ってくれて、助けてくれました。ファイナル3に進出ができなくても、勝って終わりたかった」と唇を噛んだ。

 東レの菅野幸一郎監督は、木村の最後の試合となったことについて、「チームとして、そこにはあまりとらわれすぎないようにしようと思っていた。沙織は日本の選手の中では今もトップレベルにいると思う。あのテクニックと高さをもってすれば、あと5年くらいは普通にできると思う。ただ、あまりリーダーシップを発揮するタイプではないのに、年齢的にそういうものも必要とされてきて、大変だった。とりあえず1回はやめるということで、送り出そうと思います」と語った。

 木村と共に、アテネ五輪を主将として戦った吉原知子監督(JT)は、「長い間お疲れ様、という気持ちと、『本当に引退するのかな?』という気持ちと半々ですね」と、日本女子バレー史上初の五輪4大会出場を果たした後輩の最後が、まだ信じられない様子だった。

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