【女子バレー】ハイブリッド6のキーマン、宮下遥の心意気 (3ページ目)

  • 中西美雁●文・写真 text &photo by Nakanishi Mikari

 自分からコミュニケーションをとるのはそんなに得意ではないという宮下が、今年はつとめて先輩と関係を持とうとしたようだ。話してみて意外だなと思った選手などはいたのだろうか。

「心を全部開いて話すというところまではいけないので、意外だなというよりは思った通りです」

――その中でも仲良くなった先輩はいますか?

「NECの大野(果奈)さんが、今年初めての代表入りで、年も近いので、一緒に仕事(ボール運びなど)したりとか話もいっぱいしました」

――最年少だとやはり気を遣ったりしちゃいますか?

「一番下っていうのは、上の人に常に気を遣わないと行けない立場かも知れないですけど、それではやっぱりいい関係は作れないので、思ったことは、ちゃんと上の人にも伝えたりしてました」

 昨年の宮下は、全日本招集時の会見で「全日本のことよりも岡山を日本一にしたいという気持ちの方が大きい」と言っていて、ちょっとびっくりしたものだが、昨季岡山はリーグで準優勝を果たした。今年の春、「準優勝したんだから、もう気持ちは全日本が第一になった?」と聞くと、笑顔ではあるがきっぱりと、「いいえ、前よりももっと、まず岡山を日本一にしてから! と思います」という答えが返ってきた。今年度の全日本が終わって、いよいよ今季のリーグが始まる。

「チームに帰ってきて、今2週間、3週間弱くらいになったんですけど、(岡山という自分の)チームが、やっぱりいやすいし、チームメイトに生かされているなって感じたので、このリーグ、本気で日本一を獲りにいきたいですね」

――(先月の長崎)国体で日本一を獲りましたね。これまで(バレー人生で)日本一を獲ったことはあります?

「私はないです。でも、あんまり(日本一だという)実感はないです。言われてみれば、という感じですね。国体の決勝も普通のリーグの1試合みたいな感じだったので、緊張もなくて、『明日も試合か-』みたいな感じで(笑)。相手も久光(製薬)さんで、選抜チームというわけでもなかったので特別感がなかったんです。でも、岡山に帰ってきて、『ありがとう』とか『おめでとう』と言ってもらったので、ああ日本一になったんだという気持ちになった。めちゃ嬉しいっていうわけじゃないです。やっぱりVリーグで勝たないと。でも(日本一になる)練習にはなったかなと」

――(世界選手権などに出場して)世界で戦うのがおもしろいなということは感じましたか?

「やっている時は楽しいとか、おもしろいというのは全然なかったんですけど。中国のエースのシュ・テイが同い年で、言葉は通じないんですけど、去年からお互いがA代表に選ばれてて、顔見知りみたいになって、今回も頑張ってねって言い合って……。私もシュ・テイ選手のこと、同い年で中国のエースとして頑張っててすごいなあと思っているんですけど、人づてに聞いたのですが、彼女も私のことをすごく褒めてくれてて、(相手)ブロックを1枚とか1.5枚にするのが上手いと褒めてくれたのがすごく嬉しくて。日本と中国はライバルなんですけど、世界選手権で決勝を争ったチームにそういう(仲間意識を持てる)選手がいるのは、私にとって誇りです」

 これはなかなか意外だった。大会中言葉を交わしたりはするのだろうか。

「ちゃんと会話はできてないんですけど、私たちが負けて帰る前の晩にロビーで会って、私たちは帰るけど、頑張ってね、応援しているって伝えて帰ってきました」

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