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錦織圭に「白羽の矢」を立てた世界的名コーチ 12歳の細身の少年にアガシやシャラポワと同じ「王者の資質」を見た (3ページ目)

  • 内田 暁●取材・文 text by Akatsuki Uchida

【ケイは決してシャイではない】

「arrogant」は英和辞典を引くと、「傲慢な」「尊大な」の訳語がまっさきに出てくる。ハラミロ氏自身、「これはとても繊細な言葉。解釈には注意が必要だ」と前置きしたうえで、次のようにつづけた。

「arrogantと聞くと、ネガティブな印象を抱く人が多いかもしれません。ただ、私がこの言葉で伝えたいのは、『自分を信じる力がある』ということです。そして、すべてをひとつのことに捧げる『覚悟』です。

 チャンピオンになる選手たちは、簡単に納得しません。ケイもそうでした。『これをやりなさい』と言ったら『何のために?』と聞き返します。コーチが『ナイスショット!』と褒めても、『今のが?』と首をかしげることもあるでしょう。コーチが助言した時には、『少し黙っていて。自分で考えるから』と言ったこともありました。

 これこそが、テニス選手に求められる個性です。私は、アンドレ・アガシやモニカ・セレシュ、マリア・シャラポワら多くのトップ選手を見てきました。そしてひとりとして、『arrogant』ではないスタープレーヤーを知りません」

 錦織に対する「arrogant」という評価は、多くの人たちが彼を評する際に用いる「シャイ」や「謙虚」とは対極に響く。

 その疑問をハラミロ氏にぶつけると、彼は「ケイは口数が少ないが、決してシャイ(内気)ではない」と断言した。

「たしかにケイは、自ら言葉で訴えることは少ないでしょう。ただ、必要なことは主張するし、自己表現には優れています。そしてそれが、チャンピオンの共通点でもあります。

 私はよく『talent(才能)』と『potential(潜在能力)』の違いについて話します。たとえば、強烈なストロークを打てる。これはtalentです。足が速い。これもtalentです。これらは可視的であるからこそ、コーチにとってわかりやすい。コーチでなくても、これらの才能に気づくことはできます」

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