錦織圭に「白羽の矢」を立てた世界的名コーチ 12歳の細身の少年にアガシやシャラポワと同じ「王者の資質」を見た (2ページ目)
【私が圭に魅かれた一番の理由】
サーブやボレーなどのテクニックなら、あとからいくらでも教えることができる。だが、内面を変えるのは難しい。コートを駆ける錦織には、その得難い資質が光っていたと、ハラミロ氏は言う。
最終的には協議の結果、喜多、富田、そして錦織の3名が、この年の盛田正明テニス・ファンド奨学生に選ばれた。約半年後、3人は揃って米フロリダ・IMGアカデミーへと向かう。錦織は中学2年生、富田氏と喜多氏は中学3年生の夏のことだ。
ハラミロ氏が「恐れのなさ」を重視するわけは、それがアカデミーで生き残るうえでも必要不可欠な才覚だからだ。
「テニスを始めた頃は、誰しも恐れがないものです」とハラミロ氏が説明する。
「誰だって最初は、伸び伸びとプレーするでしょう。でもやがて、いろんな重圧を感じ始める。一番多いケースは、親です。負けると『以前はあの子に勝っていたじゃないか』と子どもを責める。『あの子はお前より年下だぞ』と、ほかの子と比べる。
あるいは、コーチに『うちの子はものすごく才能がある! うちの子は周囲の子たちよりもはるかに優れている』と言う親もいます。そのような状況になると、子どもは『親の期待に応えなくては』と考えてしまう。それが、『恐れ』の始まりです。
自分がやりたいようにプレーするのではなく、『何かを証明しなくてはいけない』と感じてしまう。そのような重圧は、アカデミーというヒエラルキーが可視化される環境下でも、常に感じるものです。才能のある選手でも、プレッシャーに潰されてしまうことがありますから。
でも、ケイは違った。なぜかはわかりませんが、彼は他者に見せるためではなく、自分のためにプレーしていた。そこが、私がケイに魅かれた一番の理由です」
もうひとつ、ハラミロ氏は錦織に「すべてのチャンピオンに通底する素質」を見た。それは、「arrogant」であることだという。
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