テニスのウクライナ選手たちが苦しい心情を吐露。「練習と戦争のこと、バランスをとるのが難しい」

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

ウクライナ選手たちの声

 今回のBJKカップでは、ロシアによる軍事侵攻が続いているなか、ウクライナチームは来日。メンバー全員が、日本テニス協会が用意した東京滞在でのホスピタリティに感謝の意を述べた。そして、ウクライナ情勢に関する質問がなされたことにも感謝していた。それは、ウクライナの現状を少しでも多くの人に知ってもらい、戦争終結への糸口を見つけたいという思いがにじみ出ているように感じられた。

 チーム最年長である30歳のリュドミラ・キチェノク(WTAダブルスランキング9位)は、今季トップ8チームしか出場できないツアー最終戦・WTAファイナルズに出場して見事ベスト4に進出。ファイナルズ開催地のアメリカ・フォートワースから来日した。

「今、難しい時間に直面していて、(ウクライナの)全国民に言えることです。私たちも東京にいながら、ニュースなどを見ているととても苦しい思いです。特に、親戚たちが祖国にいますので、とても厳しい状態です。自分の心に言い聞かせているのは、精神的に強くいなければいけないこと。(テニスの)練習も、できるだけいつもどおりできるようにしています。悪いニュースを耳にすると、簡単ではありませんが、祖国で戦っている人と同じように、自分たちもタフでいなければいけないし、勇気を持たなければいけないと思っています」

 22歳のカタリナ・ザバツカ(339位)も、テニスの活動を続ける難しさを感じている。

「ウクライナ選手はみんなそうだと思うんですが、練習と戦争のこと、自分のなかでバランスをとるのは非常に難しいと感じています。ニュースを見ないようにしていますし、コートにいる時は、コート上で起きていることに集中しようとしていますが、やはり簡単に切り離せるものではありません。

 祖国を助けること、寄り添うことを心がけています。できるだけ早くこの事態が終息することを願っています。練習中は、できるだけテニスに集中しようとして、(戦争を)忘れようとしていますが、その一方で、祖国で起こっていることを知ることも必要ですので、そのバランスが難しいといつも感じています」

 ワールドツアーで成長中である20歳のマルタ・コスチュク(70位)は、チーム最年少であるにもかかわらず、母国にいる子供たちの未来を案じた。

「正直に言えば、我々のメンタルを考えるよりも、祖国にいる若い世代、子供たちの将来を考えることが一番大切だと思います。私たちはある程度出来上がった選手ですので、プロとしていろいろコンタクトをとって、世界中のどこでも練習することが許されます。なので、ある程度バランスをとって生活をすることができますが、子供たちはそういうわけにはいきません。

 子供たちのことをできるだけ考え、助けたいという気持ちが強いです。私個人としては、その実現を自分のミッションとして考えています。このような状況(ロシアによる軍事侵攻)はもう8カ月以上続いていますが、振り返ると、すごくつらいことなどいろいろありますけど、これらを踏まえて、これからも努力し続け、絶対にあきらめず、近い将来この状況に打ち勝てることを望んでいます」

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