伊達公子「私に何ができる?」。日本女子テニス界の危機に新たな試み (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by YONEX


 また、技術面では「打ったあとにすぐに構えるように、とのアドバイスや、ボレーの打ち方も細かく教えてもらえました」と顔を輝かせた。

 伊達からの助言は時に、日頃通うテニスクラブのコーチのそれと、異なることもある。ただ、その時には「ふたつの意見を足して取り入れています」という山上。このような自主性と思考力も、伊達が選手に求める資質だろう。

 伊達自身は、指導者としての自分を「まだ自信はないし、一緒に成長していくしかない。今日も言葉にすることの難しさも感じているし、どう表現すればいいのかを勉強中」だと評価した。だからこそ、選手の経験も豊富なコーチ陣やトレーナーも交えてチームを結成し、広く意見を取り入れている。

 そのうえで、伊達が何より重視するのは「みんなが同じところを見ている」こと、そして「子どもたちがいい方向へ向かっていくこと」。

 伊達はこのプロジェクトを発足する時、「覚悟を持って、一歩を踏み出した」と言った。

 その一歩が、才能の原石を磨く旅路へとつながり、日本テニス界の未来を切り拓くと信じて......。

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