錦織圭も西岡良仁も出場せず。非常事態で露わになったデビスカップの意義 (5ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO


 もちろん内山本人は、今回の事態を「絶対に言い訳にはしないし、自分の任された仕事をしっかりやるのは、エースだろうが控えだろうが一緒」と断言する。それでも、初日のシングルスで276位の選手に大接戦の末に破れ、2日目には、敗戦が即日本の敗退を意味するダブルスのコートに立った彼が、いつもと同じ精神状態でいられなかったことは想像に難くない。

 また、相手のダブルスペアは、ランキングこそゴンザロ・エスコバルが69位で、ディエコ・イダルゴは257位と高くないが、アメリカの大学リーグで多くの団体戦を経験してきた者同士。さらには、初日にチームメイトが金星を獲得したことで、「自分たちもランキングが上の選手に勝てる」と信じる力を得ていた。

 とくにイダルゴは、第1セットのタイブレークなど緊迫の局面ほど、大胆なプレーでポイントをもぎ取っていく。試合後に両国の監督は、「勝敗を分けたのは、重要な数ポイントでの積極性」と口を揃えたが、それを生み出したのは、前日からの流れと両チームが抱く重圧の差だった。

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