ナダル戦を誰もが切望。37歳フェデラー、
全仏での勇姿は見納めか? (2ページ目)
最終的に、準々決勝でドミニク・ティーム(オーストリア)にフルセットの熱戦の末に敗れたフェデラーに、地元の記者が尋ねる。
「私たちは来年も、マドリードであなたを見ることができますか?」
いたずらっぽい笑みを浮かべて、37歳のレジェンドは言う。
「観光客として? たぶんね。テニスプレーヤーとして? その可能性もあるかな......」と。
フェデラーがマドリードを去ってから、約3日後。彼の出場宣言を聞いたローマの人々は歓喜した。果たしてフェデラーが、ローマ・マスターズにも出場するのか? その件について当人は、直前まで「わからない」としていたからだ。
フェデラーが出場する試合当日――。前売りよりも2倍に高騰したチケットを握りしめたファンたちは、雨天で乱れたスケジュールのため、1日にフェデラーの試合を2度見られる僥倖(ぎょうこう)に巡り合う。
そのダブルヘッダーの2試合目は、ロッカールームや選手ラウンジから遠く離れた、グランドスタンドで行なわれた。センターコートよりもはるかに客席との距離が近いそのコートで、フェデラーはまたも2本のマッチポイントをしのぎ、ボルナ・チョリッチ(クロアチア)から大逆転勝利を手にする。
試合直後のグランドスランドの外では、フェデラーが乗るゴルフカートを立錐(りっすい)の余地もないほどにファンが取り囲み、ロジャーコールが沸き起こるという、狂騒の光景が広がった。
「まるで、ローマ教皇のパレードのようでしたね」
会見時には、苦笑を浮かべるフェデラーに、そんな声が向けられた。
その翌日、フェデラーは「体調が万全ではない」として、ローマ大会の準々決勝を棄権。今季の残るクレーコートは、全仏オープンを残すのみとなった。
切望していた、最大のライバルであるラファエル・ナダル(スペイン)との対戦は、まだ実現していない。
「ラファとの試合は厳しいが、それでも、彼とクレーで戦いたい。キャリアの始め、そして終わりに近くなってからも、彼と対戦し、それらを比較できたら幸せなことだよね」
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