ナダル戦を誰もが切望。37歳フェデラー、全仏での勇姿は見納めか?
「来年はクレーコートでもプレーしたい」との想いがロジャー・フェデラー(スイス)の胸に迫ったのは、来たる新シーズンに向けてトレーニングに励んでいた、昨年の12月だったという。
「もし、2019年のクレーコートシーズンも出なかったら、僕はそのことを今後、ずっと悔いるだろう」
郷愁の香りも交じるその想いは、2016年の全仏オープンに出られなかったことを、彼が今も心残りに思っていることに端を発する。
ロジャー・フェデラーが4年ぶりに全仏のコートに立つ 2016年2月、フェデラーは半月板を痛めてひざにメスを入れ、約2カ月間半コートを離れていた。そこから驚異の回復で4月のモンテカロル・マスターズに出場するも、ひざは腫れ上がり、マドリード・マスターズは欠場を強いられる。それでも翌週のローマ・マスターズに出場したが、ひざ、さらには腰も痛め、結果的に全仏オープンに出ることが叶わなかった。
この時の悔いが、ひとつの教訓となったのだろう。翌2017年のフェデラーは、「より長いキャリアを送るため」に、全仏オープンを含むすべてのクレーコート大会を欠場する。さらには翌年も、いまだ不安を残すひざを守るため、同様の決断を下した。
そのフェデラーが昨年の年末、「ひざは、もはや万全だ」と感じることができたという。フィジカル向上の実感や、スタミナの充溢感もある。
そこからの彼はより一層、長いラリーを想定したトレーニングメニューに取り組んだ。2019年は、長く過酷なシーズンになる――。そのことを、すでに確信していたからだ。
「別に、これが最後のクレーコートになると決めているわけではない。引退前にもう一度、クレーに出なくてはいけないと思ったからでもない」
4年ぶりにマドリード・マスターズに帰ってきたフェデラーは、その手の話題に触れるたびに、そう何度も繰り返してきた。
だが、地元の人々は、「これがフェデラーを見る最後になるのでは」という、ある種の感傷を抱き、試合会場に詰めかける。それらファンの熱狂的な声を背に受けるフェデラーは、3回戦ではガエル・モンフィス(フランス)に2本のマッチポイントを握られるも、ネットプレーで危機をしのぎ、逆転勝利をもぎとった。
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