2019.05.25

ナダル戦を誰もが切望。37歳フェデラー、
全仏での勇姿は見納めか?

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

「来年はクレーコートでもプレーしたい」との想いがロジャー・フェデラー(スイス)の胸に迫ったのは、来たる新シーズンに向けてトレーニングに励んでいた、昨年の12月だったという。

「もし、2019年のクレーコートシーズンも出なかったら、僕はそのことを今後、ずっと悔いるだろう」

 郷愁の香りも交じるその想いは、2016年の全仏オープンに出られなかったことを、彼が今も心残りに思っていることに端を発する。

ロジャー・フェデラーが4年ぶりに全仏のコートに立つ 2016年2月、フェデラーは半月板を痛めてひざにメスを入れ、約2カ月間半コートを離れていた。そこから驚異の回復で4月のモンテカロル・マスターズに出場するも、ひざは腫れ上がり、マドリード・マスターズは欠場を強いられる。それでも翌週のローマ・マスターズに出場したが、ひざ、さらには腰も痛め、結果的に全仏オープンに出ることが叶わなかった。

 この時の悔いが、ひとつの教訓となったのだろう。翌2017年のフェデラーは、「より長いキャリアを送るため」に、全仏オープンを含むすべてのクレーコート大会を欠場する。さらには翌年も、いまだ不安を残すひざを守るため、同様の決断を下した。

 そのフェデラーが昨年の年末、「ひざは、もはや万全だ」と感じることができたという。フィジカル向上の実感や、スタミナの充溢感もある。

 そこからの彼はより一層、長いラリーを想定したトレーニングメニューに取り組んだ。2019年は、長く過酷なシーズンになる――。そのことを、すでに確信していたからだ。

「別に、これが最後のクレーコートになると決めているわけではない。引退前にもう一度、クレーに出なくてはいけないと思ったからでもない」

 4年ぶりにマドリード・マスターズに帰ってきたフェデラーは、その手の話題に触れるたびに、そう何度も繰り返してきた。

 だが、地元の人々は、「これがフェデラーを見る最後になるのでは」という、ある種の感傷を抱き、試合会場に詰めかける。それらファンの熱狂的な声を背に受けるフェデラーは、3回戦ではガエル・モンフィス(フランス)に2本のマッチポイントを握られるも、ネットプレーで危機をしのぎ、逆転勝利をもぎとった。