大坂なおみ「セリーナ・スラム」達成へ。苦手クレーを楽しく感じた (3ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 さらには翌週のローマでも、大坂は1位への渇望を隠そうとはしなかった。

「1位と2位では、周囲の捉え方が大きく異なると感じてきた。私のことが話題にのぼる時、それが『世界1位』と『2位の選手』とでは、人々に与えるインパクトに大きな差があるだろうから」

 頂点からの景色を言葉でつづったうえで、彼女は「全豪で世界1位になった後、次の最大のインパクトは、グランドスラムで第1シードになることだと思った。その時から、第1シードは常に心のどこかに引っかかっていた」と認めた。

 同時に彼女は、「自分にプレッシャーをかけたくない」と言う。

「楽しんでいる時ほどいいプレーができるし、それがグランドスラムでいい結果を残せている理由だと思う。グランドスラムでの私は、いつも楽しんでいるから」

 彼女にとっての楽しみとは、幼い日に見た夢の中を生きること。

 ローマでベスト8入りし、自力で世界1位にとどまった大坂は、かつて憧れた『グランドスラム第1シード』の肩書を背に、夢の続きをパリの赤土に描きにいく。

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