大坂なおみが決勝進出。東京で見せた成長の証と周囲を和ますユーモア

  • 神 仁司●文・写真 text&photo by Ko Hitoshi

試合中とは打って変わり、おちゃめな発言でも注目される大坂なおみ試合中とは打って変わり、おちゃめな発言でも注目される大坂なおみ 東レ パンパシフィックオープンテニス(以下東レPPO)の準決勝で、第3シードの大坂なおみ(WTAランキング7位、9月17日づけ/以下同)は、ノーシードから勝ち上がって来たカミラ・ジョルジ(37位、イタリア)を、6-2、6-3で破って、2年ぶり2度目の決勝進出を果たした。そして、USオープンに続いて2大会連続の決勝進出となった。

 ベスト4に残ったメンバーの中で、大坂が一番ランキングの高い選手となり、決勝進出への期待が高まる中、大坂は、まさにトップ10プレーヤーらしいギアアップをしてみせた。

 ジョルジは、サーブからでもグランドストロークからでも、ほぼ全部のボールをアタックしてくる選手で、2回戦では、その超攻撃的なテニスを駆使して、ディフェンディングチャンピオンで第1シードのキャロライン・ウォズニアッキ(2位、デンマーク)を破るアップセットを演じた。

「もし彼女(ジョルジ)を波に乗せてしまうと、ほとんど(の選手が)勝つことが難しいタイプの選手で、実際そうやって勝ち上がって来た。私もできるだけ自分のベストを尽くしました。ちょっとでもショートボールを打ったり、少しでもスピードの乗らないボールを返したりしてしまうと、(ジョルジが)そこにしっかり合わせて攻撃してきたので用心しないといけませんでした」

 このように警戒していた大坂は、ジョルジの攻撃的なボールに打ち負けないで、的確に返球し、時にはさらに鋭いボールを打ち返してジョルジのミスを誘った。

 3~4年前の大坂は、ミスかウィナーかという感じの攻撃一辺倒で、しかもミスの方が多い粗いテニスをしていた。だが、今の大坂は違う。

 さらにアレクサンドラ・バインコーチとの取り組みによって、大坂はさらに我慢強く、ミスの少ない安定感のあるテニスができるようになり、ジョルジは今の大坂にとって敵ではなかった。もっとも大坂の謙虚なところに変わりはない。

「現在私の方が優れているとは思いませんが、自分は(ジョルジとは)異なるタイプのプレーヤーだと認識しています。その中で勝利できてよかったです」

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