大坂なおみ、攻撃データはビーナスを圧倒。もうすぐ世界がアッと驚く (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi



 大坂もビーナスを尊敬する選手としてではなく、他の対戦相手と同じと考えるようにして自分のプレーに集中した。ウインブルドンのナンバー1コートでの初めての試合で、ネットの反対側には、グランドスラムチャンピオンのビーナスがいる。これまでの大坂のテニスキャリアの中で、一番大きなチャレンジとなった。

 第1セットはタイブレークでビーナスが奪取。第2セットは第7ゲームをビーナスがブレークした。ツアー屈指のサーブ力を持つビーナスにとって、グラスコートでの試合における終盤のワンブレークは、大坂を振り切って勝負を決めるのには十分だった。

 だが、この3回戦で大坂はビーナスを上回る数字を残した。サービスエースでは、ビーナスの5本を上回る8本。最速ファーストサーブでは、ビーナスの188kmを上回って192kmをたたき出した。フォアハンドストロークのウィナーは、ビーナスが5本で、大坂が11本。バックハンドストロークのウィナーではビーナスが4本で、大坂が6本。リターンエースは、ビーナスが0本で、大坂が5本。すべてのショットを含めたウィナーの数では、ビーナスの21本を上回って、大坂は28本を記録した。

 この数字が示すように、ショットのクオリティにおいて、大坂はまったくビーナスに引けをとらなかった。

 ただし、アンフォースドエラーいわゆる凡ミスの数に目を向けると、大坂のプレーに粗さがあったことがわかる。ビーナスはフォアが6本でバックが3本、大坂はフォアが9本でバックが10本と倍以上もあった。
 
 特に、第2セット第7ゲームで見せたハイバックボレーのイージーミスをはじめとした、勝敗を分けるような大事なゲームやポイントでのミスを減らすことと、高い集中力を維持することは、今後の大坂の課題となる。

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