錦織圭、ウインブルドンで珍しくスピード勝利。次は盟友の仇を討つ! (2ページ目)

  • 内田暁●取材・文 text by Uchida Akatsuki
  • photo by AFLO

 錦織vs.マルコ・チェッキナート(イタリア)戦が行なわれたウインブルドンの12番コートは、スタンド常設のショーコートではあるものの、客席数は1000ほどで選手とファンとの距離は近い。その客席に日本人の姿は多く、朝一番に並んでチケットを確保したという日本からのツアー客もいた。

 それら熱心なテニスファンたちは、"聖地"で錦織が見せる躍動感と創造性に溢れるプレーのひとつひとつに、興奮と感激を露わにする。

「すごい!」「うまい!」

 豪快なフォアのウイナーが、あるいは巧みなドロップボレーが決まるたびに、歓声に混じって飛び交う感嘆の声。第1セットの終盤、錦織が深いフォアのストロークで相手を押し込んでからドロップショットを沈めたときには、「うわー、ああいうプレーをやってみたいなー!」と、おそらくは自身もテニスをするのであろう男性の観客がうなった。

 第1セットを6-2で奪った後は、錦織の焦点は勝利のみならず、芝の感触とプレーパターンの確認にシフトしたようだった。ここ数日、練習で重点的に取り組んできた「ネットプレーの際の、前への入って行き方」を実戦で試すかのように、時にはスライスを相手コート深くに流し込み、時にはフォアのアングルショットで相手を外に追い出してからネットに詰めてボレーを決める。それら試合での試みは、「何年か前に比べると、グラス(芝)のプレーをうまくできている」との手応えと自信を錦織に与えていた。

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