ポスト錦織圭を育てられるか。日本テニス協会がフランス連盟と提携 (3ページ目)

  • 神 仁司●文・写真 text & photo by Ko Hitoshi

 2月に、東京で開催された男子テニス国別対抗戦デビスカップ・ワールドグループ1回戦「日本vsフランス」で、日本はエースの錦織圭抜きで戦い、惨敗した。この敗戦を受け、すでに27歳の錦織に続く若手選手、いわゆる"ポスト錦織"の育成は、日本テニス界において急務であることが明白となった。

 現在、世界のトップ100にフランス男子選手は12人(3月6日付け世界ランキング)もおり、日本の2人と比べると、フランスの選手層の厚さは世界屈指であることがわかる。

 日本がフランスのように、選手層を厚くするにはどうしたらいいかという問いに、フランス代表のヤニック・ノア監督は、「フランスに来るべきです」とユーモアを交えて前置きしながら、「フランスには、約200万人の選手がいますが、若い選手を育成する仕組みがある」と答える。

 ノア監督によれば、FFTは、ローランギャロス(全仏オープン)開催による興行収入によって財源が豊かだが、その資金をローランギャロス会場の発展に使うよりも、まず、フランス各地のテニスクラブに還元し、地元テニス選手の強化費に回しているのだという。各地方のテニスが強くなることによって、裾野が広がると同時にレベルの底上げになる。これは、1980~90年代に活動したフィリップ・シャトリエ元FFT会長(故人)の手腕によるところで、彼がフランステニス界に残した功績は大きい。

 彼は中心地だけの強化システムではなくて、フランス全土のテニスシステムの確立が、必ず強化につながると力説した。今では、地方のトレーニングセンターで有望なジュニア選手が見つかれば、ポワチエ(フランス西部にある都市)にあるジュニアのナショナルトレーニングセンターに呼んで練習をさせている。

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